ニッケイ新聞 2010年7月15日付け
FIFA(国際サッカー連盟)より2014年サッカーW杯開催会場としてサンパウロ市のモルンビー球技場が除外勧告を受けてから、W杯開会式の開催も視野に入れた新球技場の建設が考えられていたピリトゥーバでは、土壌汚染が指摘されており環境が改善されるまで工事を行うことができないことが確認され、サンパウロ市でのW杯開催が危ぶまれている。14日付エスタード紙が報じた。
問題となったのは、クロロホルムなどの重金属や溶解剤などによる土壌や地下水の汚染。環境浄化技術公社(CETESB)が昨年11月に発表したサンパウロ州内の土壌調査結果の中で明らかにされている。
ピリトゥーバ周辺は、1960年代末まで金属工業が盛んで油脂工場の倉庫としても使用されており、産業排気物が不法に投棄されていたとされる。また、市内では計781地域で土壌汚染が報告され、そのうち70%は以前ガソリンスタンドがあった場所で、燃料などが垂れ流しにされていたことも発覚した。
同市では建設予定地の土壌入れ替えによる環境改善は1年で出来るとしているが、専門家は3年以上かかると見込んでおり、同地での競技場建設ならびにW杯開催実現への不安が募っている。
同市の地盤汚染が発覚してからは、その代替案として、高速鉄道の駅建設予定地でもあるカンポ・デ・マルチ空港での球技場建設案も浮上してきている。