ニッケイ新聞 2010年7月16日付け
近年、ブラジルでも環境への負担が少なく環境保全に役立つエコ商品への関心が高まってきた。一方で、各企業が正式に認定されないまま独自に作成したエコマークも市場に出回りその数は600種。消費者として適切な購買基準を身につける必要があるようだ。14日付エスタード紙が取り上げた。
環境保全を掲げるエコ商品の市場は、世界でも急速に拡大している。13日に発表された国連の調査では、環境への負担が少ない農業生産品の販売は2008年に400億米ドルを上回り、2020年には2100億米ドルにのぼると予想された。ブラジル内でも化粧品から繊維、製鉄にいたるまで多岐にわたる商品が流通するようになった。
その半面、ブラジルでは各メーカーが独自に作成し正式な認定を取得していないエコマークが商品の包装用紙などに使われ始め、調査にあたったコンサルタント会社の専門家からは「各メーカーが商品の宣伝用にマークを利用している」という懸念の声も挙がっている。
商品の宣伝において、環境に優しい製品である点をアピールすることが販売戦略の一部となり、「エコ」「オーガニック」「自然」といった言葉を多用する傾向もでてきたようだ。
ブラジルではエコマークがあるかないかを商品を購買する際の基準にしている消費者は21%とまだ少数派だが、正式な認定のないエコマークの氾濫は、消費者の判断に混乱を招く可能性がある。
例えば、通産開発省の国立工業度量衡・品質規格院(INMETRO)などが公式に認定しているマークは「PROCEL」。電力消費の削減につながる電球やエアコン、発電機などの家電製品に表示されている。
国際的に認められる「FSC」は、森林環境の保全を考えて管理された森林や植林地で生産される材木を使った建材や家具などにつけられる。また、NGO団体レインフォレスト・アライアンス発行の認証付き商品はカフェ、カカオ、お茶、フルーツなどに見られ、アマゾンでも行われるアグロフォレストリーなど自然保護、再生を行う農業方法で栽培されたことを示している。
17年前から環境品質認定計画を立てていたブラジル技術規格協会(ABNT)では、昨年初めての認定取得申請が出され、同協会初となるエコマークを今年中にも発行する予定。一方のINMETROでは、燃費が良く排気ガス排出量の少ない自動車に対して認証を設ける計画があるようだ。