不足目立つ終末期ケア=ブラジルの水準は世界で下位=適格な医師の判断求められ
ニッケイ新聞 2010年7月17日付け
英国の経済誌「The Economist」が、40カ国を対象に、死期に面した患者や高齢者に対する介護とされる終末期ケアの実態調査を実施した。ブラジルは40カ国中38位と低水準であることが示されたと15日付フォーリャ紙が報じた。
終末期ケアは延命を主目的とするのではなく、身体的、精神的苦痛を軽減することによって人生の質を向上させることに焦点を置くもの。医療的処置と共に、精神的側面を重視した総合的なケアとなる。
ランキング1位は英国とオーストラリアで7・9ポイント、その後にはニュージーランド7・7、アイルランドとベルギーの6・8が続いて高水準を示した。38位のブラジルは2・2ポイントで39位のウガンダ2・1、最下位のインド1・9と近い数字となった。日本は4・7で23位。
この数字は国民総生産(GDP)に占める健康維持費の割合や医師数などの医療環境、終末期ケアの利用し易さ、ケアにかかる費用、サービスの質の高さといった4項目の評価を平均して出される。項目毎の得点は10点だが、ブラジルの評価はそれぞれ3・4、1・2、1・9、2・4と低いもので、特に利用の難しさが際立った。
終末期ケアの普及は一般の医療制度の充実とは必ずしも比例しているわけではなく、健康保険制度が整っているとされるデンマークやフィンランド、韓国も、同調査では高い水準にあるとは評価されなかった。
ブラジルの現状に関して専門家は、医師に不治の病を扱う能力が備わっておらず、一般治療と終末期ケアを区別する判断力に欠けていると指摘する。
終末期ケアの科目が必修とされてない医科大学もあり、国内での同分野の専門性は低いとされる。治療策のない病の場合でも医師が患者の病状を家族に明確に伝達せず終末期ケアに至れない、同ケアを行っていても医師が的確な量の鎮痛剤を処方できていないといったケースもある。
保健省は4年前から展開する自宅介護サービスでは約6千人に対処し、鎮痛剤として使うコカインやモルヒネなどの購入への政府支出額も、ここ3年で230万レアルから360万レアルへ43%増額されたと公表している。