ニッケイ新聞 2010年7月17日付け
在サンパウロ日本国総領事館は14日午後同館で、サンパウロ日伯援護協会(援協、森口イナシオ会長)との間で「サンパウロ慈善団体診療所用乳がん検査機材整備計画」に対する日本政府の草の根・人間の安全保障無償資金贈与契約を締結した。乳がんの早期発見、早期治療により死亡率を大幅に削減するため、リベルダーデ区の社会福祉センターに乳がん検査機材を整備するもので、6万7932米ドルを限度とする資金が供与される。
同領事館を通じた草の根資金協力としては96番目の案件に当り、援協に対しては2度目の供与。
午後2時からの署名式には、総領事代理として小林雅彦首席領事、援協から森口会長ほか、菊地義治副会長、坂和三郎副会長、尾西貞夫副会長らも出席した。
署名後、森口会長は、「援協が持つ尊い使命は支援の手がなければまっとうできない。力強い支援の下、その期待に答えたい」と、感謝とともに福祉事業への思いを述べた。
1990年のデータによれば乳がん発生罹患率は日本人の15パーセントに対し、サンパウロ市市民は56パーセントに上り、3倍以上の高確率になっているという。その原因は食生活にあるという見方もある。
従来の援協内の乳がん検査機器は旧型で、検査を受ける女性への負担が大きかった。今回の草の根資金で購入する予定の最新機器では、負担の軽減とともに、乳がんにとって最も重要な早期発見への活躍が見込めると関係者は話す。
援協側は署名式を終え、機材の正式な購入手続きに入る。輸入の具合、放射線機器の使用許可を取る必要があり、今のところ実用開始の時期は未定。