ニッケイ新聞 2010年7月20日付け
16日午前、リオ市北部コスタ・バーロス区で連邦警察部隊と麻薬密売者らの抗争が繰り広げられ、ルーベンス・ゴメス公立学校で授業を受けていた11歳のウェスリー・ギルベル・ロドリゲス・デ・アンドラーデ君が銃撃戦の流れ弾にあたって死亡した。17日付伯字紙が報じた。
同校で普段通り授業が行われていたその日、付近にあるラガルチッシャ、ペドレイラ、テーラ・ノストラ、キンターダのファベーラの麻薬密売者を取り締ろうとする100人の連警部隊と密売者が繰り広げる抗争は授業を中断させた。付近で行われた銃撃戦で教室の窓ガラスはあたり一面に飛び散り、数学の授業を受けていた生徒30人は廊下に飛び出しうつ伏せになって身を守った。
銃撃戦は一端治まり、生徒達が教室に戻ったところで銃撃戦が再開し、廊下に飛び出そうとしたウェスリー君の胸部に1発の銃弾があたった。撃たれた瞬間も鉛筆を握り締めていたウェスリー君は、2人の教師によりカルロス・シャーガス州立病院へと運ばれたが、病院に到着した時にはすでに死亡していた。
同日午後には同校に通う児童の母親など約50人がプロテストを起こし、タイヤや木片を燃やすなどしてファベーラへと続く学校付近のジョゼ・アランテス・デ・メロ大通りを100メートルにわたり封鎖。住民らはきちんとした告知もないままに実施された無謀な警察の捜査のやり方を批判し、地域の安全を強く訴えた。こういった警察部隊とファベーラ麻薬組織の抗争による住民の被害は、今回が初めてのことではなかった。
リオ市内で同様の危険が懸念される地区にある学校は約200校に及び、2~15歳の子供たち計15万人が通っている。ウェスリー君にあたった銃弾は連警が使用していたものとみられ、18日午後には同市コパカバーナでも子供たちが参加するプロテストが起こり、政府に対し校内での安全を求めた。
ウェスリー君の遺体は17日家族らに見送られて市内北部にあるイラジャー墓地に埋葬されたが、政府関係者らの出席は無かった。
同日の捜査では麻薬密売の容疑がかかった6人も銃撃戦で死亡しており、連警部隊を指揮していた第9部隊のフェルナンド・プリンシペ・マルチンス司令官は事件があった同日午後、その職務を解かれた。