ニッケイ新聞 2010年7月22日付け
第32回岐阜県農業高校生海外実習派遣団(森本達雄団長)が17日に来伯した。同県、県人会が協力し30年以上も続く同事業。今回と合わせこれまでに330人の若者たちがブラジル各地の農家を訪れ県人、日系人と交流を深めてきた。
前年は新型インフルエンザの為中止となり、2年ぶりの派遣となった。今回は県内7校の農業高校から男子8人、女子2人が参加、日本での事前研修会を経て来伯した。サンパウロ市内の農家、野菜果物市、ミランドポリスの弓場農場、イグアス等を訪れ、オランダ・アムステルダムを回る22日間の実習だ。
毎回掲げる全体研修テーマ。今年は「愛農開拓~学べ100年の農業を、つなげ我らの未来へ~」。派遣団生徒代表の高橋直樹さん(恵那農業高3年)は「百周年を越えた日本人移民の方々の開拓精神は今の日本に必要なもの。それを学んで帰りたい」と熱い思いを語り、「団員全員が初の海外。一瞬一瞬を大切にして、見たもの全てを人生に生かしていきたい」と力を込めた。
団員各自は個人研修テーマを掲げて派遣される。安立隼大さん(大垣養老高2年)はブラジルの大規模農業の実態と顧客のニーズを知り、将来は消費者に耳を傾けられる生産者になりたいという。松永良太さん(岐阜農林高3年)は日系農家の苦労と成功の秘訣、生産者の団結した経営に興味を示す。造園科に通う斉藤祐介さん(加茂農林高3年)は「環境あっての農業」と話し、未来の緑化環境、ブラジルのエタノールの使用法を学びたいという。
森本団長は派遣の意義について「派遣を通じ、日本を見直し、自分の立場を知ること。ここで得た高いモチベーションを忘れず、将来、地域のリーダーとして活躍してくれる事を願う」と期待を込める。
今回は32回目の派遣で初めて弓場農場を訪れ、2日間の実習を行う。森本団長は同地で中華料理などに用いられる空芯菜(ヒルガオ科の野菜)についての講演も行うという。
派遣団は30日にブラジルを離れオランダに向かい、8月6日、日本に帰国する予定。
その他の団員氏名、学校は次の通り(敬称略)。副団長=古関敬(岐阜農林高、教師)、箕浦陸也(岐阜農林高3年)、高橋幸輝(岐阜農林高3年)、佐藤あかね(郡上高3年)、金崎あおば(加茂農林高2年)、垣根伸一郎(飛騨高山高3年)、春日井淳也(阿木高3年)。