ニッケイ新聞 2010年7月23日付け
2014年ブラジルW杯の開幕試合会場として予定されているサンパウロ市で、スタジアムが決まらずにもめにもめている。当初予定されていたSPFCのモルンビー蹴球場の工事資金与信問題が発覚して以来、パルメイラスやコリンチャンスの新スタジアムをW杯規格の6万5千人収容に変えるプランも発表されているが、まだ机上の空論。
ピリツーバ区に市営新スタジアム建設構想もでたが、土壌汚染問題が騒がれており、一筋縄ではない。
そこで今週、急浮上してきたのがサンパウロ市立パカエンブー蹴球場(4万4千人収容)を改修する計画。これなら民間チームの施設ではないので、公的資金の投入が容易という利点はあるが、カサビ市長は「市にはこれ以上金はない」と言明。さらにゴールドマンサンパウロ州知事も「開幕試合地の正式決定は来年、何も今急ぐ理由はない」と悠長にかまえる。
一方、強力に急かすのはルーラ大統領とリカルド・テイシェイラブラジルサッカー連盟会長。サンパウロ市・サンパウロ州知事が共に野党なだけに、もどかしいようだ。南アW杯大会終了直後、FIFA役員は「感動的なくらいブラジルは何の準備もしていない」と記者会見で嘆いてみせたが、まだまだこの状況は続きそうだ。