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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年7月27日付け

 先ごろ99歳で亡くなった鈴木俊一氏は、旧内務省の出身で地方行政の神様と言われた人である。都政を16年も担い西新宿に都庁を建設し移転した知事として知られ、執務室に風呂場を造るの話があったのだが、マスコミは筆を揃えて猛反対し、確かシャワーにかなった。天下の東京都知事である―風呂があってもいいじゃないか―と思ったものだが、衆参の新議員会館でも新聞はまったく同じような論調を滔滔と述べている▼新会館は地上12階、地下3階で部屋も100平方メートルと旧会館よりも広い。建設資金は1790億円だが、新聞は「巨大なオフィスビル」と囃し立てる。そして―贅沢さに庶民から批判も―の泣かせも忘れずに書くのは記者根性というものかな。でも―である。国会議員の執務や陳情者との面談もあるし、国政について調査し勉強する事務所なのである▼それを一般のサラリーマンの感覚で「広過ぎる」と批判するのはおかしい。旧会館を訪問したことがあるが、僅か40平方メートルでとても狭く足の踏み場もない。新会館の地下にはコーヒーショップとコンビニや按摩の店もあるそうだが、これにも非難がましい書き方が多い。国会議員でもコーヒーは飲むし、疲れもあろうから指圧を頼むという人もいる。日本なのだから煎茶、抹茶に和菓子の粋な店があれば欧米からの客たちも大喜びだろう▼こんな新議員会館を豪華とは真に以って悲しい。代議士の部屋なのだから床は大理石張りでもいいではないか。あの旧会館は経済的に貧しい頃に建設したものだし、広くて新しい会館を誇る自信を何故―持てないないのか。(遯)