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航空便は早くて確実?=整備進まぬクンビッカ=着荷、出荷に遅れの連続=貨物の問題は氷山の一角

ニッケイ新聞 2010年7月30日付け

 国内消費の過熱や工業生産回復などに伴い、輸出入共に増加傾向にあるブラジルで、早くて確実と考えられていた航空輸送が大きな壁にぶち当たっている事を示す記事が29日付エスタード紙に掲載された。ストでもないのに野ざらしにされたり、予定した便に搭載されず使い物にならなくなったりする商品続出の様子は、大きなイベントを控えるブラジル航空業界や輸送業界の抱える問題の一端を描き出している。

 航空輸送といえば早くて確実との期待を裏切られた例は、英国からの注文のパイナップル1トンを反故にされたブルー・スカイス社。加工、包装なども全て終え、冷蔵コンテナで空港まで運ばれた商品は、発注者の手元に届く事も無く廃棄処分となったという。
 「ダメになった品は賠償されるから良いとしても、問題は、発注者と受注者の双方が気をもみ、信頼関係を損なう事」という同社総務理事のリカルド・ゼプテル氏の言葉は、同様の問題への対処を迫られた経験のある全ての企業家の思いを代弁している事だろう。
 エスタード紙が取り上げた問題の空港は大サンパウロ市圏グアルーリョスにあるクンビッカで、同空港は国内の航空輸送の54%を占める。
 上半期だけで44%も輸入量が増えた同空港では、輸入増加が顕著となり始めて以来、至る所に溢れた貨物が搬送を妨げ、積荷の遅れや保管中の損失、貨物紛失などの問題も目立ち始めた。
 原因の一つは保管場所の不足で、ターミナルと飛行機をつなぐ空間に置かれた着荷、出荷双方あわせて何十トンもの貨物は、搬送車両の走行にも支障を来たす程で、先述のブルー・スカイス社のパイナップルも搭載が間に合わず空港に置き去りにされた例だ。
 また、通関作業中雨風にさらされて傷み、業者が受取った時には使い物にならなくなっていた品物も多いという。
 さらに、通関終了後の品を受取ろうとトラックを差し向けても、指定された場所に品が無く、探すのに何日もかかったという例もある。生鮮食品や予防接種用ワクチン、医薬品など、冷蔵、冷凍が必要な品を保管する施設も不足しているが、具体的な増設計画は出ていないようだ。
 空港管理担当のインフラエロでは貨物保管用のスペース不足を認め、短期的には職員増と勤務時間延長で対処する他、長期的には倉庫拡張の予定と説明。通関後の品が見つからなかった事については、通関終了の知らせを受けて移送中だったからで、管理能力不足では無いと説明している。
 14年のサッカーW杯や16年のリオ五輪などを控え、国内外からも懸念の声が上がっている問題の一つが国内空港の収容能力や運用・管理の問題。17日付エスタード紙には霧などの悪条件下での飛行を保証するためのシステム導入と報じているが、その他の面も改善、拡充が急務な様だ。