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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年7月30日付け

 日本の人たちも長生きになったものである。女性の平均寿命が86・44歳。男性が79・59歳。海外と比べると、女性は25年も連続して第1位。男性は残念ながら5位に落ちたが、これも医学の進歩とご飯や魚を軸にした食事の良さが効いている。しかも、100歳を超えた人が昨年9月の調べだと4万399人に達し、5000人に1人が100歳だから驚く▼ハワイに渡った日本移民と子孫らの長寿が話題になったことがあり、和風の食事が健康を保つの報告があったけれども、サンパウロでも白寿の先輩らが増えているし、あるいは、ここでも「食」の響が強いのだろう。日本でも沖縄では80歳、卆寿になっても元気な人が多いのは、古くから伝わる郷土料理に負うところが大きい▼分厚いビフテキではなく、野菜や魚などの質素なものが、健やかな暮らしを守っていると見たい。だが、唯単に歳を重ねるだけでは、長生きの意義も薄れてしまう。サンパウロでも講演し好評だった日野原重明氏のようなお年寄りを目指したい。聖路加病院の名誉院長の日野原・医学博士は今年99歳の白寿だが、講演や執筆にと多忙を極めており、2、3年先の日程もいっぱいだそうだ▼睡眠時間は4時間、週に一度は徹夜だったが、95歳になってから徹夜を止め、「休養」に努めているらしい。小説「おはん」を書いた閨秀作家の宇野千代さんは、多すぎるほどの「恋」をしたが、90歳の頃「わたし死なないのではないかしら」と語ったが99歳で眠るが如くに黄泉へと旅立った。願わくば―この世からあの世へも「きれいに」と参りたい。(遯)