ニッケイ新聞 2010年8月4日付け
7月31日にROTA(州軍警巡回機動隊)司令官のパウロ・アドリアーノ・ロペス・テリャーダ中佐(48)がサンパウロ市北部の自宅で何者かに銃撃された後、翌8月1日にはROTA司令本部銃撃、サンパウロ市東部で車両の放火事件が連続して起こっており、17時間以内の一連の事件が犯罪グループによるROTAへの報復ではないかとみられている。伯字紙が1日より連日で報じている。
テリャーダ中佐が銃撃を受けたのは、31日午前11時頃。ヴィラ・ペンテアード区の自宅車庫から車を出そうとしている所を車に乗った男性2人組が襲った。車の窓が開き何者かが拳銃を向けたのを見た中佐は、瞬時に座席下へ潜り身を守った。2人は十数発を放って逃亡、テリャーダ中佐は無傷で済んだ。
この事件について、テリャーダ中佐は「私個人を狙ったものではなく、犯罪グループによるROTAへの警告ではないか」と伯メディアにコメントしており、PCC(首都第一コマンド)との関連が推測されていた。1970年のROTA設置以来、司令官を狙った襲撃事件は初めてとなる。
その翌日1日の午前3時45分には、同様に車に乗った男性2人組がサンパウロ市ルス区にあるROTA司令本部を襲撃。建物に向かって6発を発砲した犯人らに軍警2人が応戦し、銃撃戦の中で犯人の1人が死亡、もう1人はそのまま逃亡した。
これと同時に、サンパウロ市東部では同日午前0時から午前3時半にかけ、連続した車両放火事件が発生している。ヴィラ・レー区で1台、ジャルジン・エレーナ区1台、ロジェアード区で13台の少なくとも15台が被害にあっており、何者かが火炎瓶を使用し放火したものとみなされている。
これら3件の事件の関連性が捜査されていた中、3日付伯字紙でROTA司令本部襲撃事件の銃撃戦の中で死亡した犯人の1人フランク・リジエリ容疑者(33)は、元軍警でROTAともつながりがあったとされるロナルド・リジエリ・ソンス氏(35)の弟であったことが明らかとされた。ロナルド氏はサンパウロ大都市圏に勤務していたが、今年3月に辞職している。
襲撃事件時に、フランク容疑者が火炎瓶を手にしていたことが報告されており、サンパウロ市東部での車両放火事件との関連性が強まっている。