ニッケイ新聞 2010年8月5日付け
ペルー北部アスコペ県でペストが流行り、7月26日には死者も出たと3日付Efeが報じた。
死亡したのは腺ペストに侵された14歳の少年で、同国保健省が発表した未確認者も含む患者内訳は、腺ペスト25人、肺ペスト4人、ペスト敗血症2人。犬や猫、豚などへの感染も広がっている。元来はネズミなどのげっ歯類に流行する病気で、人への感染確認以前にネズミなどの間で流行が見られる事が多い。
菌を保有する動物の血を吸ったノミに血を吸われた時に刺し傷から菌が侵入したり、感染者の血痰などに含まれる菌を吸い込む事で感染し、菌が体内に入ったら、2~5日で全身の倦怠感や寒気を感じ、高熱が出る。
その後の症状は感染の仕方で異なり、最も一般的でリンパ腺が冒される腺ペストは、ノミに刺された付近のリンパ腺や腋の下、鼠頸部のリンパ腺が腫れて痛む。肝臓や脾臓で繁殖した菌が出す毒素により意識混濁や心臓の衰弱が起きると、1週間位で死亡する。致死率は50~70%。
また、黒死病という名の元となったペスト敗血症は、菌が全身に回り敗血症を起こすもの。あちこちに出来た出血斑のため、全身が黒いあざだらけになって死亡する。
肺ペストは、腺ペスト患者自身の菌が肺に回って発病するか、肺ペスト患者の咳で飛散した菌を吸い込んで発病。気管支炎や肺炎を起こして血痰を出した患者は呼吸困難となり、2~3日で死亡。発生は少ないが致死率はほぼ100%だ。
ペルー北部でのペスト流行は1994年にも起き、1104人が感染、35人が死亡した。