ニッケイ新聞 2010年8月7日付け
6日付エスタード紙によると、ベネズエラ国内に進出しているブラジル企業が危機に直面している。
一例は、同国公社と35億ドルの共同事業契約2件を結んだブラスケンで、カラカスに30人いた従業員が5人に減り、幹部達の大半は、ブラジルに撤退するか他国の支社に異動する予定だという。
こういった事情は、多額の契約を抱えているオデブレヒト、カマルゴ・コレアなどでも同様で、4日に同国国会が一次承認した契約改革法案が成立すれば、状況は益々厳しくなるようだ。
ベネズエラに進出した企業が結んだ共同事業契約では、ベネズエラ側の投資条件不履行などに加え、5月の為替法変更で更に混乱。この上、同法案が成立すれば、中断したり遅れたりしている公共事業での機械類没収や事業に関連する権利や利益専有といった事態も発生しかねないという。
一連の動きを受けて、撤退や事業縮小を考えているのはブラジルからの進出企業ばかりではなく、同国への投資を差し止め、従業員を呼び戻す企業続出のため、従業員子弟を預かっていた学校の経営も行き詰り始めている。
カンポ・アレグレの米国人学校や、カラカスの英国人学校、ユダヤ人学校でも転出した生徒は何十人にものぼり、生徒激減による経営難を乗り越えるため、英国人学校では、授業料の支払を半年毎から1年前納に切り替えてくれとの通達まで出さざると得ない状況に追い込まれているという。
国際的な金融危機による景気後退の影響が今も残るベネズエラだが、貿易では、今年前半の同国向け輸出が前年同期比7%増、同国からの輸入は135・4%増と良好な状態を保っている。