ニッケイ新聞 2010年8月7日付け
ブラジル桜イペー連盟(矢野ペードロ会長)が主催する第32回桜祭りが1日、サンパウロ市カルモ公園で開催され、晴天の下5千人が足を運び満開の桜を堪能した。午前に行われた開会式にはカサビサンパウロ市長、市環境局のエドゥアルド・ジョルジ・アルヴェス・ソブリーニョ局長、飯星ワルテル下議、与儀昭雄県連会長らが出席、午後には州知事選に名乗りをあげるジェラルド・アルキミン氏らも来場した。
公園内の桜園では、現在1500本の桜の木が花を咲かせる。市から新たに提供された約4ヘクタールの土地に4月には800本の苗木も植えており、カサビ市長との約束の3千本計画が着々と進められている。
式典の中で、矢野会長は「今ある満開の桜は、市や日系社会の皆さんの支援を受けて実現できたもの。桜を育てることで、日本の伝統文化と変わることのない日本の精神をブラジルの地で伝えていきたい」と語った。
カサビ市長は「アメリカ首都ワシントンDCのポトマック河畔の有名な桜並木にも負けない桜の名所にしたい。今後も、きれいに保っていってほしい」と期待を込めた。
晴天の同日には高知県産の雪割り桜がちょうど見頃で、爽やかな風に花びらが舞い散る光景が日本の風情を漂わせた。桜並木の下で、散歩や写真撮影を楽しむ家族連れの姿が多く見受けられた。
群馬県人会から団体で訪れていたのは、婦人部の12人。お弁当を持参し桜の木の下にシートを広げてピクニックを楽しんでいたようで、婦人部長の小林ヒデ子さん、大矢みどりさんらは「天気が良くて気持ちがいい。寝転がったり、散歩したりのんびり」とくつろいだ表情を見せていた。
同祭では鳥取県人会がしゃんしゃん傘踊りを披露したほか、同県人会より招待を受けたブラジリアの老人会が110人で訪れ、婦人らが花笠音頭や河内音頭を披露した。
婦人会会長の高橋房子さん(2世、80)と幼くして来伯した夫稔さん(86、福井)は、「日本へ行った事はあるけれど、きれいに咲いている桜を見たのは生まれて初めて」と、感慨深そうに目を細めていた。