ニッケイ新聞 2010年8月7日付け
このところ米国の日系 人の活動が目覚しい。政界への進出もだが、学会や司法界での躍進ぶりや軍人の出世も凄い。ちょっと古くなるが、ジョージ・アリヨシ氏は1974年にハワイ州知事になり話題になったし、日系で初の商務長官となり、後に運輸長官も務めたノーマン・ミネタ氏が加州のサンノゼ市長に当選したのも73年のことだった▼そして―ダニエル・イノウエ上院議員が、仮議長に選ばれ大統領継承3位の最高位についた。勿論、日系としては初めてである。この大統領継承の順位は法的にも決められており、副大統領は上院議長を兼務し1位、次は下院議長、そして上院仮議長、ヒラリー国務長官と続く。イノウエ氏は、あの第二次世界大戦で日系部隊の第442部隊に入団。ヨーロッパ戦線でドイツと戦い退役し政界に転じた人である▼祖父が福岡県出身のハワイ移民で日本名は井上建。86歳ながら全米日系人博物館の理事長だし、戦時中の日系人収容の謝罪と損害賠償の獲得にも尽くしている。所謂―元年組を含めハワイで生まれ育った2世や3世にはアメリカンドリームを絵にしたような人材が多い。あのチャレンジャー爆発で死亡したエ・オニヅカ中佐もいるし、これもまた日系人では初めて陸軍参謀総長になり米陸軍の最高司令官になったエンリッケ・シンゼキ大将もいる▼ブラジルでも空軍司令官の斎藤準一大将がいるけれども、これには本人の才能もだが移民100周年の裏付けが大きい。恐らく、米国も同じような歴史的な背景があり、今それが―やっと花を開き有為な人々を輩出していると見たい。(遯)