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養子で人種偏見減少に=白人夫婦も黒人児童受入=家庭を築く夢を実現し

ニッケイ新聞 2010年8月10日付け

 8日の父の日には、多くの家族が父親を囲んで団欒を楽しんだよう。そんな中、8日付伯字紙は養子を受け入れる家庭を取り上げた。白人児童の受け入れを好む傾向があった養子の形態にも変化があり、近年は、白人夫婦が黒人児童を受け入れるといったケースも目立ってきた。
 8日の父の日に、絵や手紙など、一番多くのプレゼントを受け取ったのはサンパウロ州アチバイヤの農園で家具屋を営むアルシマール・ファリア・クアレズマさん(通称=マジーニョ、53)かもしれない。彼には子供が40人。実の息子3人のほか、養子で授かった37人の子供達を育てる。
 白人のマジーニョさん夫婦が当初希望した赤ん坊を養子にとの考えは実現しなかったが、養子縁組の手続きを経て家族を必要としている子供達の存在を知った夫婦は、当時10歳で夫婦の長女より年長だった黒人のリカルド君を引き取った後、白人、黒人、モレーノ、アジア人と人種を問わず温かく受け入れた。
 家族が1日に消費する牛乳は12リットル、パン100個、フェイジョン2キロと膨大な量の食事に生活費をまかなうのも大変だが、愛すべき家族がいることにマジーニョさんは胸を張り、「私は父親になることに人生を捧げたんだ」と、優しい笑みを浮かべた。
 近年、国内の養子の形態には変化がみられる。それは、今までは白人の児童しか受け入れないと主張する夫婦が多かったものの、現在はそういった傾向も減少。2008年に養子を引き取った1万3千夫婦のうち白人児童のみを引き取った数は70%であったのに対し、現在養子待ちの2万8千夫婦で白人児童だけを希望する夫婦は38%にとどまっている。
 養子縁組に登録される児童全体の65%は黒人、モレーノ、イディオ、アジア人であり、今後はより多くの受け入れ先が提供されることが期待される。兄弟の孤児を一緒に引き取る夫婦が増えていることも、明るいニュースとなる。
 こういった傾向には、夫婦自身が親になるという希望を強く持ち、人種を重要視しなくなってきたことが考えられるほか、マドンナやアンジェリーナ・ジョリー、サンドラ・ブロックといった白人米スターが黒人児童を養子として受け入れ、注目されていることも影響しているようだ。

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