ニッケイ新聞 2010年8月11日付け
ルーラ政権8年間を終えた時点で未払いのまま次政権に受け渡される経費の総額は、900億レアルに上るものになりそうだと8日付エスタード紙が報じた。カルドーゾ前大統領から政権を引き継いだ時の未払い分は226億レアルだった。
ルーラ政権の目玉政策の一つは経済活性化計画(PAC)で、労働者党(PT)のジウマ・ロウセフ次期大統領候補がPACの母と称されている事は周知の事実だ。
その意味で、ジウマ氏が次期大統領に当選した場合は文句を言う筋合いはないとされるのが、この900億レアルという巨大な置き土産。というのは、未払い経費の大半がPAC関連だからだ。
PACの経費は、計画立案から実施までの時間が長い上、工事が大型になれば施工期間も長引くなど、会計年度内に支払が終らず、次年度持越しとなるものが多い。
計画から施工まで時間がかかるために、計画上の予算と実際に支払う額差が生じる事が多いのもPACの特徴だが、これらの差を計算にいれず、予算上の数字で算定した未払い経費(次年度に繰越す支払額)が900億レアルに上るという。
この額は、民主社会党(PSDB)のカルドーゾ前大統領からルーラ大統領への政権移譲時の226億レアルの約4倍に当たり、セーラ候補が当選した場合には、不満の声が上がる事だろう。
一方、ルーラ政権としては、会計年度内に払う事を優先すれば新規事業への投資などが滞ることは必至で、経済活動にも水を差すというのが、未払い経費の膨張を正当化する理由の一つ。
第一次の段階から未払い経費の増加を問題視する声が出ていたPACだけに、第二次計画での未払い額拡大は目に見えているが、現実には、PAC以外にも国会議員が進言、提出した工事など、関係省庁が認可しなかったのに官房長官に直訴して認可された例もある。
未払い経費増加の背景には、予算外の工事などを行うための暫定令増加と共に、複数年での予算編成という政府の方針変更の影響もあるが、複数年での予算編成により会計年度をまたぐ経費が増え、未払い経費増大を招けば、投資に回せる金額が限られてくるため、会計年度内に払われないまま雪達磨式に増加する繰越額の拡大を懸念する専門家もいる。
09年度の場合、08年からの未払い経費は508億5千万レアル、予算上の投資額は570億680万レアルで、未払い分を支払えば、開発投資などには62億1800万レアルしか使えなくなる筈だった。この状況は今年上半期も同様で、09年からの未払い分が537億レアル、投資予算は639億レアル。PACに限定すれば、240億レアルの予算に対し、前年から繰越された未払い分は300億レアルだった。