ニッケイ新聞 2010年8月12日付け
ルーラ大統領が10日、国連安全保障理事会採択の対イラン制裁を意に反して承認と11日付伯字紙が報じた。
ウラン濃縮問題を巡って国際社会で孤立化するイランに対し、ブラジルは常に擁護の姿勢をとり、5月にはトルコも含む3カ国での合意文書調印まで至ったが、調印直後にイランが国内での濃縮継続を宣言。国連安保理での制裁決議に至った。
安保理での制裁決議に際しても反対の立場をとり続けていたブラジルだけに、ルーラ大統領が制裁に同意する文書に署名した事に疑問を呈する人々もいる。アモリン外相はそれらの疑問に対し、合意文書調印を無効扱いした国々への不満は残っており、制裁そのものには今も反対だが、国連が採択した事柄には同意する事を原則とする従来からのあり方に従った判断だと説明した。
制裁の内容は、イラン企業や銀行の口座凍結、ミサイルなどの重兵器輸出禁止や船舶や航空機の強制捜査などで、制裁に従うか否かは各企業が決める事になる。
外相らは実際の交易活動への影響は余りないというが、最近は新たな貿易交渉を進めるのが困難になっており、09年の伯イ間の貿易総額は07年の20億ドルから12億ドルに減少している。