ニッケイ新聞 2010年8月12日付け
日本と韓国はお隣同士なのだけれども、どうも根っこのところでは、あまり仲良しとはいえない。あの日韓併合の傷跡や慰安婦などが今も尾を引いているのだろうが、この35年間に及ぶ苦渋の心は日本人にもよくわかる。8月29日の併合100年にあたっても、水面下では韓国からいろいろな申し入れがあるようだし、今上陛下の韓国訪問も要請したの噂がまことしやかに流れたりもした。管首相も談話を発表したが、単なる謝罪外交に終わった気がしないでもない▼韓国の併合は「日韓併合条約」によるものであり、日本は合法としているが、韓国は「日本の圧力であり締結のときから無効」と譲らない。しかし、2001年に米国で開催の国際法学者らの会議では「日韓併合条約は国際法上は不法ではない」として日本の立場と同じである。そして100年前の韓国を取り巻く政治的な状況も見落としてはなるまい▼韓国を植民地にしようとしたのは、日本だけではない。清(中国)やロシアも強い意欲を持っていたのは、暗殺された閔妃の言動を見てもよくわかる。だが、日清・日露戦争で日本が勝利したので―この両国は引き下がったのである。それを、日本の帝国主義的行為と非難ばかりするのは如何なものか▼話は飛ぶが―鹿児島に薩摩焼きがあり、ここに沈壽官という陶芸家がいる。文禄・慶長の役で韓国から連れてこられた人の子孫なのだが、戦後に韓国を訪れ「35年の苦しみはわかるが、わたしは400年も」と語り話題になった。この大らかさと気長なさで日韓の将来を語り文化発揚に努める方が賢明というものではあるまいか。(遯)