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USPが選抜方式再検討=公立校出身者の一次合格減
ニッケイ新聞 2010年8月13日付け
サンパウロ総合大学(USP)の一次合格者(最初に出る合格者リスト掲載者)に占める公立校出身者の割合が、2010年は25・6%に止まり、入試改革後最低となったと11日付ブラジル字紙が報じた。
公立校生と私立校生の間に学力差がある事は従来からいわれており、USPでも、公立校出身者への門戸を広くするため、2007年から社会包括プログラム(Inclusp)と呼ばれる入試改革を導入した。
07年入試では公立高校出身者に3%のボーナスを与えた他、2009年からは国家高等教育試験(Enem)受験者には同試験得点の6%加算など、12%までのボーナス点が付くよう改革。同年は公立校出身者の合格者が30%いた。
今年の合格者に占める公立校出身者減少の背景には、問題漏洩のために09年のEnemが日程変更となり、入試での加算対象から外された事なども影響したと考えられる。USP側はEnem得点の変わりに入試得点の6%加算を決めたが、この情報は十分知られてなかった様だ。
また、連邦政府が私立大学合格者への奨学金制度ProUniを導入した事などで、公立校出身の受験者も減少傾向で、2006年には45・08%、09年には33・37%いた公立校出身の受験者が10年は29・29%のみだった。
公立高校での学力の伸び悩みは教育省でも頭痛の種だが、USPは高い月謝を払う私立校や予備校に通った生徒しか受からないと敬遠する公立校出身者や、実力もないのに特別扱いで受かったといわれる事を嫌う受験生もいるのが現実。教育現場からは入試内容そのものの見直しが必要との声も出ており、USPではボーナス基準も含めた選抜方式のあり方を再検討する方針だ。