ニッケイ新聞 2010年8月18日付け
リオ市南部のアミウ病院に入院し、26日間昏睡状態が続いていた5歳児ジョアンナ・カルドーゾ・マルセナル・マルチンスちゃんが、13日意識が戻らないまま死亡した。ジョアンナちゃんの死亡には、いくつかの不法行為が重なったとみられ、リオ警察が捜査に乗出した。15、16日付伯字紙が取り上げた。
昨月16日にリオのRioMar病院に運び込まれたジョアンナちゃんは、痙攣を起し意識がなかった。足に血腫、胸部や尻にタバコを押し付けられたような火傷の跡があったとされる。
しかし、対応した医者は瀕死状態のジョアンナちゃんに痙攣を緩和させる薬を処方しただけ。意識も戻らないままジョアンナちゃんを退院させたため、回復が見込めない状況に不安を抱いた父親が、同市内のジャカレパグア病院、アミウ病院へとジョアンナちゃんを搬送していた。
ジョアンナちゃん死亡後に明らかとなったのは、RioMar病院で診療したアレックス・サンドロ・ダ・クーニャ・シルバ(33)氏は、医学生で医師免許を持ち合わせていなかったという事実。医師免許は医学生が盗んだ第3者のものだったという。
と同時に、ジョアンナちゃんの体に残っていた傷あとから、父親アンドレ・ロドリゲス・マルチンス氏の幼児虐待疑惑が浮上した。元恋人でジョアンナちゃんの母親であるクリスチアーネ・フェラスさんとは娘の養育権について法廷で争っていたところで、ジョアンナちゃんは、5月26日から90日間、一時観察期間として同氏の元に預けられていた。
医師でもあるクリスチアーネさんは、2007年からアンドレ氏と過ごした後、体に血腫や引っ掻き傷を作って帰ってくる娘をみて虐待の疑いを抱き、警察へ届けを出していた。クリスチアーネさんは「娘は法廷の誤った判断によって犠牲になった」と訴え、「テレビを見ながら、ベッドで飛び跳ねる娘の面影をずっと心に留めたい」と悲しみにくれた。
葬式は15日、バイシャーダ・フルミネンセの墓地で行われた。そこに父親の姿はなく、訪れた継母には、母方の関係者らから罵声が浴びせられた。
リオ警察は医師免許を偽っていたアレックス容疑者を指名手配しているほか、同容疑者を採用していたRioMar病院小児科のコーディネーター、サリタ・フェルナンデス・ペレイラ氏を逮捕した。虐待容疑は、捜査を進めている段階。