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日本でも通用する歌声=江差追分=ブラジル代表に芹川さん=民謡特別ショーも大盛況

ニッケイ新聞 2010年8月18日付け

 江差追分会ブラジル支部(石川諭支部長)が主催する「第21回江差追分ブラジル大会および第10回道南口説節コンクール」が15日午前9時からリベルダーデの宮城県人会館サロンで開かれ、約250人でにぎわった。

 今年の大会には約80人が出場。江差追分、道南口説節の順に行なわれ、各部門の出場者は緊張した面持ちでステージにあがりつつも、伴奏が始まるとしっかりとした面持ちで力強い歌声を響かせていた。
 江差追分大会優勝者の部で優勝したのは、サンパウロ民謡保存会の芹川三月さん。芹川さんは9月17から19日まで北海道で開催される江差追分全国大会の出場権を獲得した。
 二位には篠原俊巳さん(民謡同志協会)、三位に有熊茂さん(民謡好友会)がそれぞれ入賞した。
 道南口説節コンクールの各部門優勝者は次の通り。「寿年の部(80歳以上)」=伊津野敬嗣(サンミゲル民謡会)、「高年の部(70~79歳)」=会田郁子(民謡好友会)、「一般の部(15~69歳)」=江田グスターボ(ベロ・オリゾンテ)。「佐々木基晴記念優勝杯」は海藤紀世さんが受賞した。
 今年は大会終了後、来伯中の民謡親善交流使節団(団長=佐々木基晴民謡名人)の4年ぶりのブラジル公演が行なわれたこともあり、会場は多くの人で賑わった。
 佐々木団長は、「出場者全員が日頃の練習を発揮されて美声が会場一杯響き伝わっていた。日本でも十分通用する腕前」と賞賛の言葉を送り、観客の目を引く唄とはただ上手なだけではダメ、個性を出しながら唄に味を出さなくてはならないと、ユーモアを交えながらアドバイスをしていた。
 野田基永民謡師範教授を始め、藪下京子民謡教授、全日本歌謡大会優勝者の石井健三氏ら、合計9人の使節団が次々と唄を披露。11歳の三宅瑠さんが見事などじょう掬い踊りを見せ、会場全体から大きな拍手が送られていた。
 他にも米山甚句、東下り、長崎ブラブラ節、丹波の祝い唄、オテモヤン踊り、歌謡の定番曲「祭り」、安来節などを熱唱。アンコールの嵐で会場は盛り上がった。
 道南口説節コンクール高年の部で優勝を飾った会田さんは10数年前、ブラジル公演を開催していた佐々木名人の見事な民謡をきっかけに民謡を始め、現在では週2回、各3時間練習する。「緊張はするけれど、優勝できて大変うれしかった」と笑顔を見せた。
 大会の尺八、三味線伴奏者として、また道南口説節コンクールで優勝を果たした江田グスターボさん。昨年の江差追分全国大会にブラジル代表として出場した江田さんは現在、ミナス・ジェライス州立大学でオペラなどを学ぶ。
 8年前から民謡を習い始め、その1年後から尺八の音色に惹かれ練習に励んできたという。その後三味線も弾くようになった。当日見せた三味線や尺八の指さばきは見事なものだった。
 「三味線より尺八のほうが難しい、でもとても楽しい」とこれからも練習に力を入れたいと抱負を語っていた。