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リオ=軍警と密売者で銃撃戦=白昼市内で40人逃げまとう=5つ星ホテルで35人が人質

ニッケイ新聞 2010年8月24日付け

 21日午前、リオ市内のファヴェーラ・ロッシーニャの麻薬密売者グループと軍警察間で銃撃戦が起こり、犯人の一部は市内南部サンコンラード区にある5つ星のインターコンチネンタル・ホテルの宿泊客、従業員ら35人を人質にとった。2時間の交渉の末、人質は全員無事に開放され、犯人ら10人が逮捕されたほか、犯罪グループの1人とされるアドリアーナ・ドゥアルテ・デ・オリベイラ氏(41)が銃撃戦で死亡と、22、23日付伯字紙が報じた。
 午前8時頃、市内をパトロール中だった軍警は、近隣のファベーラ・ヴィジガルからロッシーニャへと戻る途中の麻薬密売者ら40人を偶然発見。約40分間の銃撃戦の後、麻薬密売者らは市内の住宅地などへ各々に逃走。その一部はインターコンチネンタル・ホテルに押し入り、宿泊客ら35人を人質にとって抵抗を続けた。
 その日は800人の宿泊客に加え、歯科学会が開かれており、約1500人がホテルを利用していた。翌22日の第14回リオ国際マラソンに合わせて滞在していた客も多く、宿泊客の4割が外国人客だった。
 人質となったのは、イタリア人1人、ポルトガル人2人、ベルギー人2人の宿泊客5人とホテル従業員らで、全員が調理場に閉じ込められた。ファヴェーラから駆けつけた犯人の家族らも交渉に加わり、2時間後ようやく人質は開放され、16~32歳の犯人10人が逮捕に至った。そのうち9人に、前科があることが判明している。
 拳銃などで武装していた他の麻薬密売者らは、市内で車やバイクを奪って逃走を図った。逃走途中集住住宅地に侵入した麻薬密売者もおり、現場に居合わせた住民らは「戦場のような修羅場だった」と恐怖を語っている。事件直後、同ホテルでは宿泊予定のキャンセルが相次いだ。
 同事件の様子は米紙ニューヨーク・タイムズや米国のチャンネルCNN、英国のチャンネルBBCのほか、スペインの日刊紙やアラビア語のインターネット上サイトなど各国メディアで報道されており、今後に控えるオリンピックやサッカーW杯開催への懸念材料となっているようだ。