ニッケイ新聞 2010年8月26日付け
ロシアの天候不順などで世界的に品不足といわれながら生産者価格が上がらぬ小麦に愛想をつかしたサンパウロ州南西部の農家が、従来の栽培種ではなかった粟の栽培に乗り出し、イタペヴァ地方ではその植え付け面積が2800ヘクタールにも及ぶと25日付エスタード紙が報じた。
冬の作物といえば小麦だったサンパウロ州の農家にとって、生産者価格の低さと病気の蔓延で大きな収入が期待できない小麦に代わる作物としての粟栽培は新しい挑戦だが、生産コストはとうもろこし栽培の40~から50%でありながら、買い取り価格はとうもろこしの80%になるという粟の持つ魅力は大きい。
従来は動物のえさに混ぜるだけだった粟は、最近、エタノールやバイオディーゼルの原料としても注目され始めており、脱穀後の殻も、夏の作物としての大豆植え付け時にとうもろこしの皮同様に利用出来るという。今年は従来より販売も容易になったという粟の価値は、サンパウロ州の農家にとって今後益々高まりそうだ。