ニッケイ新聞 2010年8月26日付け
先日25日付けでお伝えしたが、国立歴史美術遺産院(IPHAN)による連邦文化遺産にレジストロ、イグアッペの14点が認定された。その中の一つ、高台に建つサンフランシスコ教会の定礎式が行われたのは何と1926年。新旧揃っているのが「日本移民ゆかりの地」たる所以といえよう、プロテスタント系の教会も認定された▼双方ともに日本人が建設に関わった最古のものではないか。マンガ・ラルガ地区にある聖公会教会は29年の建設。湿度を伴う酷暑のレジストロで81年もほぼ完全な形で残っていることに驚く。日本人大工の腕の確かさを実感すると共に、日系家族が手入れを欠かさず、毎年6月にミサが行われていることにも感銘を受けた▼由来はこうだ。伝道のため23年に来伯した伊藤八十二が同地訪問のおり、病に臥せっていた移民がいた。祈りを捧げたところ快方に向かったことから、信者が増え、土地を寄進され―ということらしい。現在でも山深い場所だが、開拓最前線にいた当時の移民の心情を伝える〃昔話〃のようなエピソードだ。日本語学校として使用されたこともある由緒正しい(?)日系教会といえよう▼ブラジル日系キリスト教会紹介誌(ブラジル日系キリスト教連盟編)によれば、伊藤氏は、ピニェイロス区にある聖ヨハネ教会を33年に創立している。建物自体は新しいが、サンパウロ市で日系最古といわれる教会である▼今月21日、渡邉親枝・元本紙記者がこの教会で結婚式を挙げた。お相手は日系二世の岡アルナルド正人さん。歴史ある教会で、若い2人の新しい門出を祝えたことを喜ばしく思う。(剛)