ニッケイ新聞 2010年8月27日付け
中国東北部の黒竜江省で現地時間24日午後9時36分頃、エンブラエルの旅客機E―190が伊春空港への着陸に失敗して墜落し、42人が死亡、54人が負傷した。事件の原因解明を行う中国側では機体の欠陥が指摘されているが、エンブラエルは安全面に問題はみられなかったと否定している。26日付伯字紙が報した。
省都ハルビンから出発し伊春へ向かった河南航空のE―190は、着陸直前に機体に亀裂が入り、滑走路から1キロ余り離れた地点に激突、機体は2つに折れて草地で炎上したとされる。事故当時、現場付近は霧が濃く、視界は300メートルほどだったという。120人収容の同便には、乗客91人と乗員5人が搭乗していた。
中国側は今年6月に行われた中国航空会社とエンブラエル代表者が出席する会議の中で、すでに機体の欠陥について議論が交わされていたことを指摘していた。タービン部分の損傷や、操縦プログラムでの問題が上がっていたという。
中国政府によれば、近年国内で死者を伴う飛行機事故は報告されておらず、今回の事故は2004年以降最も大きな被害を出したとしている。
これに対し、中国エンブラエルのGuan Dong Yuan代表は「国内の権威機関から飛行許可が下りており、安全性を疑う直接の懸念材料は上がっていなかった」と機体の欠陥を否定している。
また、事件が起こった伊春の空港では、2009年8月の開港後すぐに夜間の着陸は危険性が高いという報告もあり、航空会社によっては夜間や雨天時の着陸を中止していた。
河南航空のLi Qiang代表は事件直後に解雇処分となったが、事故原因解明は25日に回収されたブラックボックスの記録解析などをもとに行われる予定だ。
エンブラエル社では、今回の事故前後に他の機体でも問題が相次いでおり、23日にサンパウロ市へ向かった小型旅客機がプロペラに支障をきたしてサンパウロ州バウルーに緊急着陸したほか、25日午後にはバイーア州ヴィットーリア・ダ・コンキスタでERJ―145が着陸時に滑り機体の一部が炎上する事故が起こっている。