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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年8月28日付け

 政界一寸先は闇―である。あの永田町では、昨日の敵は今日の友。何事が起こっても驚いてはいけない。民主党の代表選挙に小沢一郎氏がまさかの出馬もそんな一つ。田中角栄元首相を師匠とし「派閥の力」で政治を押さえ込む手法を硬く信じ豪腕で政界に君臨してきた猛者である。選挙に強いのも角さんから学んだものだし、47歳かで自民党幹事長のときには宮沢喜一氏らを呼び面接してからOKのサインを出し首相にする辣腕ぶりである▼司法試験には失敗したが、父・佐重喜の死去で政界入りした政党人。田中元首相に手解きを受けて建設や郵政の族議員として活躍。ロッキード事件ではないが「政治とカネ」の暗部もあり、今も検察が動いたりし批判も多い。鳩山前首相と同じく、このカネの問題で幹事長を辞任し、今回も、この件があるので代表戦へは立候補しないの観測が専らだったが、土壇場になってからの出馬表明となった▼田中―小沢の「派閥の論理」に従えば、小沢氏は210票。管首相160票なので小沢勝利となる。目下、両派とも激戦中なのでこれからどうなるかは不明ながら現状では小沢陣営が優勢。旧社会や旧民社もどちらかと言えば小沢支持が多いようだし、議員以外の支持者や地方の票らがどちらに投票するのかで勝敗は決まる―そんな情勢である▼闘いは熾烈であり、選挙後に党分裂の危機もあるだろうし、小沢氏は勝っても首相にはならずに誰それをと見る人もいる。と、先行きは混沌としているけれども、あるいは新たな政界再編に繋がる可能性もあるし、単なる民主党の代表戦を超える政争とも言える。(遯)