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国民の半数が肥満気味=児童の体型も大きく変化=10年後にはアメリカ並み?

ニッケイ新聞 2010年8月31日付け

 2008~09年に実施されたブラジル地理統計院(IBGE)の家庭調査によれば、20歳以上の国民の49%が適正体重を超えていると報告された。肥満現象は毎年増加傾向にあり、このままいけば、10年後には国民の3分の2が適正体重以上であるとされるアメリカの水準にも並ぶと推測されている。28日付伯字紙が報じた。
 男性では体重÷身長の2乗が25を超える人が50・1%、体重÷身長の2乗が30を超える肥満者は12・4%で、女性の場合は各々48%、16・9%となっている。74、75年度の調査と比較すると、この数字はそれぞれ2~3倍になっている。男性においては、家庭収入が増えるほど、肥満率も高くなる傾向にある。
 こういった肥満現象の中でも特に懸念をあおるのは、ここ20年間で急激に増加してきたとされる児童の肥満。5~9歳で適正体重を超えているのは33・5%で、3人に1人が太り過ぎとみなされ、肥満児も14・3%いる。74、75年度と89年度の調査比較では1・5倍の増加しか見られなかったものの、89年度と08、09年度調査の結果では3倍の増加が示された。
 肥満増加の原因には、栄養バランスの悪さや不規則さ、テレビやビデオゲームへの熱中によって招かれる運動不足が挙げられる。専門家によっては、家庭内の問題に伴う情緒不安定が影響しているという見解も出た。
 もう一方で挙がっているのは、青少年の誤った自己認識。初等教育最高学年の児童6万人を対象に行われた他の調査結果では、「太りすぎ」と自己判断した女子生徒の35・8%が適正体重、「痩せすぎ」と自己判断した男子生徒の76・1%は適正体重(体重÷身長の2乗が18・5~24・9)であったことも明らかとなった。女子生徒は減量したい、男子生徒は筋肉をつけたいという願望が強いようだ。
 保健省のジョゼ・ゴメス・テンポロン大臣は「不適切な食事、生活で国民が太り気味になっている。健康問題にも赤信号だ」と懸念。健康促進に向け新たに3億レアルの投資を提案しているほか、給食内容や食料品の宣伝に規制を加えるなど政府の働きかけが必要と声を大にしている。

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