ニッケイ新聞 2010年9月4日付け
サンパウロ大都市圏にあるイタペヴィ交通局では1880枚の運転免許証(CNH)発行に不正があったことが発覚、調査を進めるサンパウロ州交通局(Detran)では、関係者らを起訴する方針を示している。3日付エスタード紙が報じた。
免許取得者はイタペヴィ市の自動車学校での講義、実技を実際には受講していなかったほか、イタペヴィ交通局で実施されたはずの筆記試験、実技試験でも同局職員が不正行為を黙認していた疑惑が浮上している。
調査報告によれば、今回不正が発覚した免許取得者はサンパウロ州外居住者。申請書類にイタペヴィ市在住と偽りの記載をした免許取得者の実際の在住地は、ミナス、セアラー、パライーバ、アラゴアス、ペルナンブーコ、マット・グロッソ・ド・スル州など。自動車学校には1500レアルを支払っていたとされる。
8月、サンパウロ州交通局配属の警察はイタペヴィ局を閉鎖し、免許発行に関する全ての個人記録を押収。すでに不正行為が判明した同市内の自動車学校職員4人を逮捕した。交通犯罪取締部と審議会が設置され、発行過程に違反の可能性がある免許証については、専門家による詳しい鑑定が進められている。
検察官のカルロス・ジョゼ・パスショアル・デ・トレド氏は、「不正がみられる1880枚の運転免許証は、すべて差し止める」とコメント。
免許取得者側にも、公文書に偽りの情報を記載したとして違反行為が認められる。今年1月から7月の間にイタペヴィ局で発行された第1種運転免許証は、サンパウロ州外での登録地変更や更新を行う際に差し止められ、所有者はサンパウロ州で事情聴取を受けることになる。
イタペヴィ局では2008年から不正疑惑が浮上しており、サンパウロ州レメ市からバスで到着した受験者一行が申請書類に記入し、筆記試験を白紙で提出して免許証を受け取った例も報告されている。
サンパウロ州交通局は1日、こういった免許証発行における不正行為を防ぐために、電子登録制の運転免許証(e―CNH)を今年中にサンパウロ州全域に導入すると発表した。同免許証は、サンパウロ市やサンパウロ大都市圏の一部ですでに導入されている。