ニッケイ新聞 2010年9月7日付け
【既報関連】民主社会党(PSDB)のエドゥアルド・ジョルジ副党首や同党関係者3人、大統領候補ジョゼ・セーラ氏の娘のヴェロニカ氏と、次々に判明した個人情報漏洩問題で、ジョルジ氏やヴェロニカ氏の機密文書(ドシエー)のもととなった情報漏洩にはいずれも労働者党(PT)党員が関与していた事も判明し、物議を醸し出している。
国税庁の内部調査の発端となったのはエドゥアルド・ジョルジ氏の個人情報漏洩が判明した事だが、ヴェロニカ氏の個人情報漏洩に関しては、所得税の確定申告から情報を得たとしか思えない内容の記事が09年にPT関連ブログに掲載され、セーラ氏が1月にルーラ大統領に抗議していた事は3日付伯字紙にも記載されていた。
ところが、09年9月に起きたヴェロニカ氏の個人情報閲覧の際の申請書類は偽造されたもの。居住地とは管轄が異なるサントアンドレー市で閲覧されていた事でも疑惑の対象となったアントニオ・カルロス・アテラ・フェレイラ会計士は、マウアPT創設メンバーの一人の義兄弟で、03年10月から09年11月までPT所属であった事が判明と4日付伯字紙が一斉に報道した。
ヴェロニカ氏の申請書類偽造発覚当初はPSDB支持者とも発言していたアテラ氏のPT所属判明は、ドシエー問題とPTの関係へのPSDB側の疑惑に油を注いだ。
更に、PSDB副党首の個人情報をミナス州のフォルミーガで昨年4月に閲覧した国税庁のジルベルト・ソウザ・アマランテ職員もPT党員だと6日付伯字紙が報道。PSDB副党首の個人情報はブラジリアからも閲覧されていたという。
一連の個人情報漏洩事件はPTやPSDBの公認候補承認前の事でもあり、PT側は選挙戦で不利になったセーラ陣営がぶち上げた根拠もない言いがかりとして扱い、公的な場で問い詰められたジウマ氏が不利になる事がない様、8日に予定されている大統領候補者の公開討論へのジウマ氏欠席を通告している。
これに対し、セーラ氏やPSDBは、メンサロン事件やカルドーゾ元大統領夫妻の情報漏洩など機密文書作成はPTの得意とするところで、ジウマ氏やPTは不正入手の個人情報で選挙を優位に運ぼうとしたと批判。
国税庁長官の解雇は選挙への影響大と判断した政府は、国税庁が直接の矢面に立たない様、同件絡みの捜査を検察庁に委ねる方針を明らかにしたが、今回のドシエー問題が、大統領選での支持率逆転にまでつながるか否かは微妙な状況だ。
4日付伯字紙発表のIbope調査はジウマ氏51%、セーラ氏27%で、両者の差の拡大は止まったとあったが、5、6日にテレビが報じたVox調査では、ジウマ氏53%、セーラ氏24%で、両者の差は29ポイントに拡大している。