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数字で見るブラジルの生活実態=失業率上昇でも所得向上=電気普及で家電購入盛ん=識字率は殆んど変わらず

ニッケイ新聞 2010年9月10日付け

 2009年全国家庭サンプル調査(PNAD)の結果が発表され、国際的な金融危機の中でも、労働者一人当たりの平均収入は2008年の2・2%増となる1106レアルに伸び、社会格差を表すGini指数も小さくなるなど、国民生活改善傾向は保たれたと9日付伯字紙が報じた。

 今回のPNADは、08年9月27日~09年9月26日に、15万3837家庭を訪問し、39万9387人から聞いた結果をまとめたもの。
 労働者の平均所得は1113~1144レアルを記録した1995年~1998年より低いが、前年比2・2%増を達成した事や、所得分配の均一度を測るGini指数が0・521から0・518に低下した事、正規労働者が59・6%に増えた事などは、金融危機を経ても生活改善傾向が続き、景気回復に向かった様子を反映している。
 同期間中の失業者は130万人増え、失業率も7・1%から8・3%に上昇したが、これは経済活動人口増加と金融危機から回復し始めて就労希望者が増えた事も影響。09年9月の就労者は前年同月比0・3%(29万4千人)増の9270万人だった。
 また、正規労働者増加は年金積立て増にも直結し、09年は全就労者の53・5%に及ぶ4960万人が年金積立中だ。
 09年の高卒以上の労働者は43・1%で、04年の33・6%や08年41・2%と比べ徐々に増加。大卒以上も04年の8・1%から11・1%に増えている。
 また、電気が全家庭の99%に普及したのに伴い、フォゴン98・4%やテレビ95・7%、冷蔵庫93・4%など、家電製品も普及。下水道施設のある家庭は59・1%なのにDVD所有は72%なども、所得向上や消費過熱の反映だ。
 ただ、気がかりなのは、所得別に10段階に分け下から10%にあたる低所得者層の収入の伸びが、11~60%での4%、全体でも2・4%の伸びに比べ、1・5%と低かった事。全人口の8・8%だった極貧層は8・4%に減少したが、前年が10・3%から1・5ポイント減であったのに比べ減速した。
 また、識字率向上も緩やかで、10歳以上の文盲者は9・3%から9・2%へと0・1ポイントのみの減少。15歳以上は10%から9・7%に0・3ポイント減で前年より良好というが、6~14歳の就学率向上も0・1%と教育面改善への課題は多い。
 近年言われるのは熟練者の不足だが、基礎教育の充実は学力伸長の土台で、知識や技術習得にも欠かせない。17歳以下の児童就労が減ったとはいえ、高校中退の原因は関心のなさが大半との過去の報道と共に、小中課程の内容を習得しないまま中退または上の課程に進み、落ちこぼれる例などがまだまだ多い事を懸念させる数字といえる。