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東洋街にアインシュタイン病院?!=バンデイランテス新病棟=最新設備揃えてお披露目=「もっと日系人の利用を」

ニッケイ新聞 2010年9月17日付け

 「これで医療設備はアインシュタイン病院なみだ」。14日午前、リベルダーデ区のバンデイランテス病院の新病棟お披露目式で、同病院が所属するGSB(Grupo Saude Bandeirantes)のジョアキン・メデイロス会長は、そう言って胸をはった。2年8カ月かけて拡張工事した新病棟には、建築費だけで4200万レアル、加えて医療設備には1200万レアルが投資されている。東洋街の一角に、近代と伝統の調和を誇る新しい建物が完成した。

 「私はここで幼稚園を過ごしたの」。来賓の桧垣静江さん(75、二世)は、そう懐かしそうに建物の外壁をみあげた。
 緑青色のガラス壁面を多用した7階建ての近代的な新病棟と美しい調和を見せる、壁だけ残された旧建物は、戦前戦中にカトリックの日系子弟向けの学校コレジオ・サンフランシスコ・シャビエルとして利用されていた。その幼稚園に桧垣さんは通っていた。
 「戦争中のセントロからの日本人追放令で、学校も追い出されてね。長いこと空家になってた。ほら、はす向かいは日伯裁縫女学校だったのよ」。シャビエル校はのちに現在あるイピランガ区に移転した。
 今回の拡張工事により、290床(うちUTI68床)になった同病院には、エレベーター7基、従来なかった駐車場(140台)も設備されている。
 放射線科のバウテル・シチト医師は最新式のCTスキャン装置を紹介しながら、「2秒間に500枚の画像が撮影できる。しかもカラー印画紙に出力されるから、より詳細に病状の診断ができる。この機械はブラジルでは最新鋭だ。大変に誇りに思う」と語った。MRT装置だけで150万ドルかかったという。
 今年中に80万レアルを投資して、同グループ内の基幹コンピューターを一新する予定で、「これらの全投資により、50%の売上げ増を見込んでいる」と広報資料にはある。
 お披露目式に訪れた約200人の来賓を前にメデイロス会長の息子、マルセロ同病院運営代表は「我々のグループはこれを機に新しい地平に乗り出した」と高らかに宣言した。続いてドン・オジロ・シェレル大司教が直々に祝福の言葉を贈り、聖水を振りまいた。
 来賓の一人、40年前からのメデイロス会長の友人であるリベルダーデ文化福祉協会(ACAL)の池崎博文会長も、「このバイロに大きな投資をしてもらってありがたい。おかげで東洋街の価値が高まった。もっと日系人から利用される存在なってもいい」との感想をのべた。
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 1945年5月にドミンゴス・レラリオ医師が創立したアントニオ・レラリオ病院(30床、30医師)が元になり、75年に現在のバンデイランテス病院とそのグループとなり、そこから35周年を記念して今回の新病棟が計画された。
 一年前、グループの一つとして高級住宅街モルンビー地区にラフォルテ病院を開設し、高級ホテルのようなサービスを提供することを目指している。
 この2病院以外にリベルダーデ区のグロリア病院やサンベルナルド・ド・カンポ市のラカン病院などとも業務提携している。