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2010年の雇用創出は新記録=8月までに195万人=サービスと商業が牽引=失業率と共に転職率低下

ニッケイ新聞 2010年9月18日付け

 カルロス・ルピ労働相が16日、2010年の正規雇用創出は順調で、8月の29万9415人、1~8月の195万4千人は共に、全就労・失業者台帳(Caged)創設以来の新記録と発表したと17日付伯字紙が報じた。雇用が順調に伸びている事で、新規雇用時の初任給も上昇傾向だという。

 8月の雇用創出29万9415人は、144万1千人の新規雇用者と174万人の解雇の差。5月1日のメーデー直前に今年の雇用創出目標を250万人に上方修正した労働相にとり、8月までに195万4千人の雇用創出は、きわめて順調な数字といえる。
 6月に21万3千人を記録後、7月には18万2千人と減少した雇用創出だが、8月は、農閑期に入って季節労働者が減少した農業部門だけが1万1259人の雇用減となった外は、全部門が増加に転じた。
 8月中の雇用増が最も著しかったのはサービス部門で、雇用創出は12万8232人。8月までの累計では35%だった比率が43%に伸びた。
 月間雇用増は以下、工業7万393人、商業6万5083人、建設4万138人と続くが、累計での12%が8月は21%に伸びた商業や、7カ月連続で雇用増を記録し、累計でも16%を占める建設業などが雇用創出の牽引役だ。
 地域別では南東伯149万2227人、北東伯6万9562人、南伯5万1054人、北伯1万6496人、中西伯1万3076人。州別では、サンパウロ州の9万633人、ミナス州の2万9253人に、過去最高のリオ州2万4921人が続いた。ペルナンブコとパラナの2州も、2万人以上の雇用増となっている。
 上半期に限ってみた場合、970万人の新規雇用が起きているが、転職や復職を除いた初就職は15%。新規雇用時の初任給平均は、前年同期比4・8%増の821・13レアルで、インフレ率以上に上昇した。
 初任給は需要と供給のバランスによっても変動するが、上半期の平均失業率は7・33%と国際金融危機以前の08年の8・27%を下回り、熟練工など、質の高い労働者がより高い給与を求めて転職する場合も含め、売り手市場的傾向が強いといえそうだ。
 このため、今年上半期に退職または解雇された人の平均給与と新規雇用者の平均給与の差も、前年同期の13・2%から7・2%に縮小した。
 退職時給与と初任給の差が縮まった事なども反映して低下したのは転職率で、季節的要因も大きい建設や農業で47%と39%を記録した外は、22~25%の範囲。公務員の転職率が3%と極度に低いのは当然だが、全体平均の20%という数字には、人件費カットのために高給取りを解雇して新人を採用する場合と、より高い給与を求めて転職する場合の両方が含まれている。