ニッケイ新聞 2010年9月18日付け
英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エドゥケーションによる世界大学ランキングでは、ブラジルで最高水準を誇るサンパウロ総合大学(USP)が232位に位置付けられたが、国内の高等教育に目を向ければ、近年に大学院のコースが増加しその水準も高まっていると示される。15、16日付伯字紙が報じた。
同ランキングは、教育レベルや世界での研究成果の知名度のほか、論文や研究報告書の発行数、国外からの教授や学生を引き付ける国際競争力などが基準となるもの。
1~3位は米国のハーバード大、カリフォルニア工科大、マサチューセッツ工科大が占め、上位10校には米国、英国の大学がひしめく。日本は東大の26位を筆頭に200位以内に5校。中国が200位以内に6校入り、新興国の中でも群を抜く。ブラジルの場合、USPがラテンアメリカ最高の232位で、その次はカンピーナス州立大学の248位となった。
世界的にみればいまだ高水準とは言い難いブラジルの高等教育だが、教育省(MEC)ハイレベル人材養成業務統括所(Capes)が今年発表した2009年の実態調査によれば、国内の大学院(修士、博士課程)では少しずつ研究環境が整ってきているようだ。
2007年発表の調査と比較すると、開講されるコース数が2256から2718へと増加。今までサンパウロとリオなど南東部に集中していた大学院のコースが、ここ3年間のうちに北部で35・3%、北東部でも31・3%増えている。
Capesでも同ランキングに類似した基準で各コースを1~7段階に評価。国際的に高い水準を満たすとされる6~7レベルと評価されたコースが237から298へと増え、全体の10・9%となった。特に、生物学や化学分野のコースで高水準がみられた。
6レベル以上のコースが多かったのはUSPの大学院で、コース総数の33%。北東部で6レベル以上とされたのはパラー連邦大学大学院のコースのみだったが、コース開設が増える中、今後の発展には期待が持てるとされる。
一方、教育環境として適さないとされる1~2レベルと評価されたコースも全体の2・7%。低評価のコースは医学、法律学の分野に多く、それらの教育機関では教育課程の改定が必要となるが、改善効果が見られない場合閉講もありうる。大学院においても教育の質向上のほか、国際機関との協力や留学制度の充実といった国際性の高さが求められていく。