ニッケイ新聞 2010年9月22日付け
長期入院していた関係で、給与の補てん手続きにINSS(社会保障院)支所にいったら、暴動でも起こりそうな雰囲気になって驚いた▼窓口で職員と話していた若い男性が、いきなり立ち上がって怒鳴り始めた。「朝4時から待ってて、ようやく昼過ぎに自分の番になったら、医者がストライキでレマルカ(手続き延期)だと。バカにするのもいいかげんにしろ! 仕事休んで来てんのに3回も4回もレマルカするなんて、どういうつもりだ」▼怒りの収まらない彼は他の待合人にも「こんなヤツ等にはみんなで怒んなきゃダメだ!」と呼びかけると、立って声援を飛ばす人も現れた。警備員までが動員され、彼が無理やり別の部屋に連れて行かれそうになると、呼びかけに同調した来場者30人ほどが窓口に詰め寄り、あわや暴動かという場面に▼前にいた白人中年女性も、「1月に長期入院してこの手続きを始めた。あれから今回で3回のレマルカよ」と呆れ顔。近くの若者も「あの職員たちは自分らばっかりストをやって法外な昇給している。俺たちを犠牲にするのは止めてしい」と怒り心頭の様子。コラム子も結局、レマルカとなった▼年金や社会保障制度は国の根幹だ。あと30年もすればブラジルも少子高齢化社会に突入する。今ですらこの状態・・・。若者が多い今から準備をしておかないと年金システムは破綻する。あの若者が年金を受け取る歳になった時、どうなっているか▼長蛇の列ができた通路にはテレビが一台。画面では大統領候補者らが実績をアピールして「こんなにブラジルは良くなった」と連呼していたが、その声は虚しく空をこだました。(深)