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地位や権力が汚職呼ぶ?=郵政公社理事も辞任に=元官房長官絡みで4人目=無用な混乱避けたい大統領

ニッケイ新聞 2010年9月23日付け

 【既報関連】兄弟や息子を含む家族ぐるみの汚職発覚で辞任したエレニセ・ゲーラ元官房長官に続き、同氏が唱えた郵政改革推進派のエドゥアルド・アルツール・ロドリゲス・シウヴァ郵政公社理事が20日に辞表提出と21日付伯字紙が報じた。現政権9人目の閣僚辞任となったエレニセ元官房長官絡みでは4人目となる辞任劇だが、就任48日でその職を退くに至った原因は何なのか。

 ロドリゲス元理事はエレニセ氏失脚の発端ともなったマスター・トップ・エアライン(MTA)社と関係のある人物で、理事就任後は郵政公社による同社買い取りを働きかけるなどの不正な動きがあった事は19日付エスタード紙が詳細に報じている。
 19日の告発後、ロドリゲス氏辞任までの動きや郵政公社とMTA社の契約関係の記事は伯字紙が連日掲載しているが、MTAは郵政公社の貨物を民間貨物と一緒に空輸する事が認められている唯一の企業だ。
 公社の貨物と民間貨物の同時空輸は、郵便貨物の限定輸送には大きすぎる航空機を所有するMTA社に多大な利益をもたらす恩典で、この官民の貨物同時輸送を可能にしたのがエレニセ氏の息子であるイスラエル氏のロビー活動だった。
 MTA社と関係するコンサルタント会社を経営していた元空軍大佐のロドリゲス氏は、郵政公社理事就任と同時に会社の経営権を娘に譲ったが、MTA社をブラジル企業として登録するため、ウルグアイのモンテビデオとサンパウロ州カンピーナスに本社を置く企業6社をたちあげ、同氏の婿の両親を名義上の社主とするなど、MTA社との関係は切れていない。
 MTA社の経営実権はペルー人が握り、本当の社主はアルゼンチン人のアウフォンソ・コンラド・レイ氏で、ロドリゲス氏の就任式にはレイ氏も来伯し出席した。同社の航空機はレイ氏関連の国外企業貸出で、借入金の名目で国外から多額の送金を受取るなどの、社内の動きも不自然だ。
 ロドリゲス氏辞任の19日には、やはりエレニセ氏指名の郵政公社ダヴィド・ジョゼ・デ・マトス理事長がMTA社との契約は正規の手続きを経ておりそのまま維持と発表したが、20日には国庫庁(CGU)が一部契約は入札を行わずに結ばれており、全体を見直すと発表するなど、一連のスキャンダルの行方を占うのは困難だ。
 投票日直前の新スキャンダルを避けたいルーラ大統領は事態収拾役にパウロ・ベルナルド企画相を指名。一方で、エレニセ氏は電力公社や社会経済開発銀行理事職も21日に辞任の意向という。同氏の官房長官就任は大統領判断で自分は事件と無関係という労働者党のジウマ・ロウセフ大統領候補の態度が真実か、必要なら腹心の部下も切捨てるとの一部識者の予想的中かは不明のままだ。