ニッケイ新聞 2010年9月23日付け
リベルダーデの名前は、他の州に行ってもよく知られている。民族性が強く、サンパウロ市の観光地区でイベント率も高いからだが、メディアの影響も否めない。大手メディアはさておき、邦字紙のポ語版は様々を報じてきたし、ポ語ガイドのようなものも折々に出版されてきた▼21日付けの読 売新聞サイトで、群馬県太田市で平野パウロさん(31、三世)がブラジル人経営の店を紹介する日本語による季刊フリーペーパー『ベンヴィンド ブラジル街』を発行していると読んだ。「ブラジルに興味を持つ日本人は多いが、情報が少なかった」と発行へのきっかけを話すパウロさんは10歳で訪日。日ポ両語が堪能なだけに企画、取材編集まで一人でこなす。1年前の創刊時は1枚紙の5千部だったようだが、現在は14ページで1万部を発行する▼在日ブラジル人社会をも襲った世界不況。大泉でもブラジル人は減少を続け、現在は昨年比で1割減。口コミでの客が減った店側も自然と日本人をターゲットに考える。これが広告出稿にも繋がったのだろう。逆風が追い風となった顕著な例だ▼昨今、ブラジルに対するイメージも変わりつつある。若い世代にファッションや食の関心も広がる。リベルダーデまでとはいかないまでも、同ペーパーが後押しし、いい意味で広く知られていけば面白い▼蛇足だが、大泉近くに引越した友人にその存在を教えた。肉の安さに驚き「ピンガも気に入った」との連絡後、入院。心配していたのだが「一生酒が飲めなくなった…」とのメールがあった。長年の不摂生にトドメを刺すきっかけとなる「情報」となったようだ。(剛)