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同じ釜の飯食べた仲間だもの=57年9月のさんとす丸=渡伯53年の同船者会=船上写真ににじむ年月=次は55周年で

ニッケイ新聞 2010年9月24日付け

 1957年9月12日、約600人を乗せた移民船「さんとす丸」は45日間の太平洋の旅を経てサントス港へ到着した。その53周年を記念して同じ日付の去る日曜日、午前11時からサンパウロ市内のレストランで第6回同船者親睦昼食会が盛大に開かれた。

 世話人の宮坂説雄・久子夫妻、水村正親・ケイ子兄妹、山本岩男・(安川)節子夫妻、平井(安川)美枝子さん、上野(安川)貞子さん、藤重(山口)昌子さんなど約20人が出席し、3年ぶりの旧友との再会を喜んだ。
 夫、娘2人、息子1人を連れて家族5人で移住、今年93歳を迎える山口惠美子さん(和歌山県)は、実行委員を務めた山口麻佐行さんと共にはるばるマウア市から参加。親睦会の最年長だった。「着伯当時は様々な苦労があったけれど、家族全員で力を合わせてがんばった。このような集まりでみんなと再会できるのはいつも楽しい」と満面の笑みで答える。
 昼食後、参加者たちが各自持参した乗船当時の写真をスクリーン画面に拡大し、まるで最近の出来事のように、会場全体が思い出話に花を咲かせていた。
 「左端に写っているのは○○さんじゃない」、「いや、○○さんよ」、と当時の記憶を遡りながら、53年という月日を感じ取っていた。
 「懐かしい、同船者みんなと同じ釜の飯を食べていたのですもの。家族でも親戚でもないのにね」。他人同士にも関わらず強い友情を覚えると毎回開かれる同船会を楽しみにしているという山本(旧姓・安川)節子さん。渡航中の43日間、1日も欠かさず調理の手伝いをしたとして皆勤賞に花瓶をもらったことも語っていた。
 次回は55周年記念同船会が2012年9月に開かれることが既に決定しており、「参加した全員がまた同じ会場で元気な顔を見せてほしい」と野澤今朝幸さんの言葉をもって同会は閉会した。