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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年9月24日付け

 先日来社したブラジル日本通運の駐在員と日伯貿易に関する話をしていて、目からウロコが落ちた気がした。「日伯間の直接の物流よりも、いまは中国やアジアから日本進出企業の製品を持ってくるパターンが非常に増えている」という。つまり、日伯間貿易だけでは二国間のやり取りは図れない時代になっている▼日本企業は約4千社も海外進出しており、その約3分の2が中国を含めたアジアにある。例えばインドネシアや中国などで日本企業が部品を生産してブラジルに直接に運び、ここで組み立てる工程が一般化しているという▼先日もブラジルの半導体市場は40億ドル(08年)の総額があるとされているが、正規に半導体として輸入されているのは10億ドルに過ぎず、残りは半製品として進出企業グループ内の多国籍通商で処理されているとの話を聞いた▼そうやって完成した製品が欧州や米国に輸出されることもある。そうなると日伯間の通商統計にはまったく出てこなくなる。まさに現代的なグローバルシステムであり、日本勢に限らず、最近は中国勢や韓国勢の当地進出も著しい。ブラジルはその一大拠点になりつつあるようだ▼一年程前に会議所関係者と、中国の国内総生産(PIB)が日本を抜くか抜かないかとの話をしていた時も、「中国のPIBの少なくない部分が、実は日本を含めた進出企業の生産が寄与している。中国国内で生産しているが、必ずしも中国企業という訳ではない。それを積み上げた数字があれ」との話を聞いた▼もし、海外進出多国籍企業の生産や取引まで連結した国別統計があったら、今とは違った世界の勢力図が描かれるだろうか。(深)