ニッケイ新聞 2010年9月25日付け
統一選投票日も押し迫る23日の最高裁審議は24日未明まで紛糾し、27日に継続となった。同審議はフィッシャ・リンパ法により統一選への出馬停止を宣告されたジョアキン・ロリス連邦直轄区知事候補の上告を受けたもので、今年からの同法適用に対する賛否が5対5となり、結論が出なかったからだ。
ロリス氏に対する出馬権停止判決は、F・リンパ法が今年から、それも過去の事件にまで遡って適用される事が前提で下されたもので、同法の適用開始時期と適用範囲を不服としたロリス氏は、今回の選挙出馬を有効とすべく、最高裁に上告していた。
23、24日付ブラジルメディアによると、ロリス氏の上告を受けての裁判は22日に開始されたが、ロリス氏の弁護士は規定の15分を3分も上回る18分間しゃべる事が許された上、最高裁長官の口からF・リンパ法の違憲性を問う発言が飛び出すなど、異例続きの審議は一旦中断し、23日午後再開された。
混乱のきっかけとなった違憲性発言は上告者側からは問題視されていなかった事で、他の最高裁判事らからは、他の判事の発言を途中で切って発言する長官の態度も含めた批判が相次いだ。
長年の友人であるロリス氏弁護人に過去最長の時間を使わせた事や、本来の課題ではなかった違憲性発言を行い、F・リンパ法そのものを無効とせんばかりの行動をとったことで同僚からの批判を浴びたため、セーザル・ペルーゾ長官はそれ以後の発言中断を少し控えたと24日付エスタード紙は報じている。
ロリス氏に対する判決結果がF・リンパ法適用で出馬停止処分を受けた他の候補者にも適用される事には全員が同意しているが、意見が分かれたのは、今年からの適用か否かと、同法成立前の事件に遡っての適用するか否かという点。
報告者のアイレス・ブリットやジョアキン・バルボーザ、カルメン・ルシア、リカルド・レヴァンドスキー、エレン・グラシエの各判事は今年からの適用に賛成、ジウマル・メンデス、ジアス・トフォリ、セウソ・デ・メロ、マルコ・アルレリオ・メロ、ペルーゾの各判事は反対で同数となったため、24日未明まで続いた審議は27日午後から再開と24日付サイトは報じている。
F・リンパ法は、政界汚職の蔓延などを防ぐため、過去の裁判で有罪判決が出た人物や職責剥奪と被選挙権喪失を避けるために辞任した人物は、懲罰期間終了または本来の任期終了から8年間立候補出来ないとする法案で、過去の事件にも遡って今年から適用の場合、07年に上議辞任のロリス氏は22年末まで立候補不能となる。
同法適用の可能性のある候補者には、元サンパウロ市長のパウロ・マルフ下議、カシオ・クーニャ・リーマ元パライバ州知事らの名前が挙がっている。