ニッケイ新聞 2010年9月28日付け
現在国外に滞在しているブラジル人の数は、人口の1・57%にあたる304万993人。このうちの3分の2が不法な滞在だと推定する外務省は、規制、合法化に力を注いでいる。26日付エスタード紙が報じた。
移住者の分布を大陸別にみると、最も多い北米が132万5千人、次にヨーロッパの81万6千人、南米の51万4千人と続く。国別には1~6位がアメリカ128万人、パラグアイ30万人、日本28万人、英国18万人、ポルトガル13万8千人、スペイン12万5千人となる。
これらの国外滞在者のうち、不法に滞在している人が全体の3分の2にも及ぶというのは懸念すべき事柄で、法的な支援も医療サービスも受給できない国外のブラジル人を保護しようと、伯外務省は各国と交渉し、滞在の合法化も含む対応策を検討している。
中でも、南米諸国間で起こる不法な行き来は、大きな課題。南米で一番の移住先で30万人が住むパラグアイでは09年に、MERCOSUL内での交渉により、同国に不法滞在中のブラジル人5590人が合法化され、今年末までに1万人の正式登録を見込む。並行して昨年ブラジル内で発布されたアネスチア(恩赦)では、不法滞在のパラグアイ人4135人の滞在が合法化されている。
ボリビアとの間では、ブラジル内に1万6千人の不法滞在のボリビア人が確認されているのに対し、ブラジル人550家族がボリビアの法律に反してアクレ州と接するパンド州の国境から50キロメートル以内の場所に土地を占拠している点が問題となる。南米の場合、この他にも、ガイアナ、スリナム、仏領ギアナにダイヤモンド採掘を求めて不法に入国するブラジル人が多いと指摘された。
一方、近年増加するヨーロッパへの移住傾向は特殊。高所得者層の男性が顧客となる売春行為を目的に渡航する若いブラジル人男性が増えており、08年の調査ではスペイン・マドリッドで売春行為を行う男性の8割がブラジル人だったという報告もある。
また、カナダへの移住も1999~2008年に330%と激増。ここ10年間に40万件発行された学生、労働、観光ビザにより一旦入国しては、期限が切れてもそのまま滞在し続けるケースが目立っている。