ニッケイ新聞 2010年9月28日付け
ブラジル日本文化福祉協会国際民族舞踊委員会(林アンドレ委員長)主催による「第39回国際民族舞踊祭」が25、26両日、同大講堂で開催された。2日で2000人以上が訪れ、各民族系コロニアの53団体、1000人近い踊り手たちによる伝統舞踊に見入った。参加コロニアは日本、台湾、アラブ、アフリカ諸国、ブラジル、ボリビア、ロシア、イタリア、ドイツ、スイス、リトアニア、オーストリア、ウクライナなど。終日各コミュニティの子孫たちで満員となった同会場では舞踊に合わせて手拍子、口笛が鳴り、陽気な雰囲気が舞台と会場を繋いだ。
日本はレキオス芸能同好会のエイサー太鼓、花柳流なでしこ会の日舞のほか、レプレーザ連が阿波踊りを披露し、他の国と似つかぬ独特の舞いに会場から大きな拍手が送られた。
ギリシャは20人ほどの男女が肩を組み背筋を伸ばして一列に並び、華麗なステップを披露。何枚もの皿を叩き割る派手な演出もあった。ロシアはコサックダンス。ボリビアは手に鞭を持ち、足に鈴をつけた奴隷頭をモチーフにした男が登場し、靴を鳴らし軽快に踊った。
アフリカは顔や体をペイントした踊り手が、早い太鼓のリズムに手足、頭を激しく振る伝統舞踊。今年のW杯にちなみサッカーの動きに似せた踊りで、観客席にまで飛び込み来場者を煽った。
「帰らなくちゃならないけど、帰れない。民族服、曲、踊りの微妙な違いが見ていて楽しい」と目を輝かせる五十部(いそべ)三和子さん(66、山口)。自身も社交ダンスを嗜み、各国のステップ、腰の動きなどに目を配る。「普段見られないものばかり、それぞれの国の情景が目に浮かびます」と満足げだった。
トリを飾ったイタリアの舞台では来場者にタンバリンを配り、壇上に上げて共に踊った。2階席も巻き込んで、「イーーハァー!」という歓喜の声が響き、リズムに乗った老若男女が手を繋ぎ肩を組み、盛り上がりは最高潮に達した。
林委員長は取材に対し「人あってこその文化。他人を見下さず、互いの存在を認識することで平和と自由が見えてくる。各国のアイデンティティ、文化を守って行くことがそれらに繋がる」と開催を続ける意義を語る。来年は第40回を迎え、「今回の出演者の殆どが生まれる前から始まったもので、文化の伝承を肌で感じる。これからも先輩方の思いを継いでいきたい」と意気込んだ。