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小学校の教育を見直そう=大学での学力決める幼少時

ニッケイ新聞 2010年9月30日付け

 サンパウロ州の教育調査研究所(Insper)が、小学校の4年間が大学生の学力を左右するとの調査結果を発表と29日付エスタード紙が報じた。
 ブラジルを5つに分け、地域毎の小学生と大学生の学力の相関性を観察したもので、小学校の4年間にしっかりと学力をつけている地域では、大学生の学力も高いという。
 同調査でいう小学校の4年間はいわゆるプリマリオの1年から4年で、小学校入学年と卒業年の基礎教育開発指数(Ideb)を、27の連邦大学学生の教育機関総合指数(IGC)と比較研究した結果だ。
 同調査で最も好結果を得たのは、小学校の校区を小さめにし、教育政策もしっかり立てている南伯で、以下、南東伯、中西伯、北東伯、北伯の順に並ぶ。18日付フォーリャ紙に、学生が年齢相応の学年に在籍しているか否かで見た北東伯の高校の現状は、10年前の南東伯以下だったとの記事があった事を思い出させる内容だ。
 18日付フォーリャ紙は、教育政策や就学実態についての地域格差への懸念を投げかけたが、今回のInsper調査での懸念は、初等教育への投資は大学での高等教育への投資ほど重要視されていない点。
 初等教育での生徒一人当たりの経費は北東伯の貧しい州の2倍とされるサンパウロ州でも、教師不足を臨時採用教員で埋め合わせるなどの問題がある事は周知の事実だが、学校設備や教師養成も含む投資と共に必要なのが教育政策の確立だ。
 高校課程への教育政策が確定している州は高等教育の成果も高いというが、建造物の強度は基礎工事に左右される様に、初等教育での基礎学力抜きの高等教育伸張はありえない。2月にはサンパウロ州の高校3年生の学力は8年生並みとの報告もあるなど、ブラジルの教育レベル改善への道は長く遠い。