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サンパウロ市長が来年度予算案提出=20%増で公約実現目指す=税収の伸びは国や州以上=不動産ブームなどが牽引

ニッケイ新聞 2010年10月1日付け

 カサビ政権6年目となる11年度のサンパウロ市予算案が28日に公表されたと9月29日付伯字紙が報じた。9月30日が提出期限の予算案だが、インフレ率以上のバス代値上げなどを含む内容が選挙戦に与える影響を最小限に止めるため早めに発表されたもの。今年度の20%増の予算で08年の選挙公約実現の言葉に期待がかかる。

 サンパウロ州知事候補の公開討論会の当日公表された予算案は、4・5~5%と予想されるインフレ率を上回る7・4%のバス代値上げなどを含み、討論会直前の民主社会党(PSDB)知事候補ジェラウド・アウキミン氏を慌てさせた。早めの発表には民主党(DEM)内からも批判が出たという。
 提出期限であり選挙活動最終日でもある30日に発表すれば、野党側が投票所周辺でまく批判のビラで有権者が考えを変える可能性があるとみた市長にしてみれば心外な批判だが、周囲との摩擦を避けるため30日は自らの手で議会提出という予算案は、今年度比20・8%増の総額346億レアルと強気のもの。
 金額的に多いのは人件費の84億レアルだが、伸び率では、41億レアルから71億レアルに増える教育費と、18億レアルから51億レアルと3倍増の新規計画や工事関係費が目を引く。
 教育予算の目玉は、選挙公約のトゥルマ・ダ・フォーメ(11~15時に学校に通う生徒のグループ)終了のための学校建設費30万レアル。同トゥルマは今年47校で残っており、校舎増築や学校新設と共に教師増員なども必要となる。
 また、パライゾポリスやエリオポリス市街化計画なども、待望の項目のひとつ。洪水対策にも繋がるゴミ回収や道路清掃費の10億レアルから12億レアルへの増額や、3つの病院建設を含む保健衛生費の40億レアルから45億レアルの増額も注目に値する。
 一方、市民から不評を買いそうなのは先に触れたバス代値上げで、年末か年明けに、2・70レアルから2・90レアル前後に調整される事になるようだ。
 市長によれば、インフレ分の調整と共に渋滞改善などの対策が必要だからというが、料金値上げでバス利用が減る可能性も否定できない。高齢者や学生などへの無料または割引料金での利用を保障するためのバス会社への補助金は、9月26日までに3億2千万レアルの予算を大幅に上回る4億8千万レアルの支出となっているため、6億レアルに増額されている。
 一方、20%増しの予算案作成の基礎は今年8カ月間の税収が好調だった事。30日付エスタード紙によれば、家屋税調整や不動産ブームなどに伴う税収は前年同期比16・5%増で、国の9・8%や州の13・9%増以上だ。1~7月の不動産販売は前年の1万6460軒を22・6%上回る2万182軒だった。