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大統領選=ジウマ決選投票避けられず=汚職と中絶問題で躓く=ルーラ以上の18州制するも=マリーナ票は誰に流れる?

ニッケイ新聞 2010年10月5日付け

 3日に行われた統一選挙の第一次投票の結果、大統領選では、労働者党(PT)のジウマ・ロウセフ氏と民主社会党(PSDB)のジョゼ・セーラ氏による決選投票が行われる事に決まった。ルーラ人気にあやかり一次投票で初の女性大統領誕生と見られていたジウマ氏には、かつての右腕エレニセ・ゲーラ元官房長官絡みの汚職事件や中絶問題が足かせになったようだ。

 4日付伯字紙やサイトによると、1億3579万人余りが参加した一次投票の結果は、ジウマ氏46・90%、セーラ氏32・61%、緑の党(PV)マリーナ・シウヴァ氏19・32%、その他1・18%で、ジウマ氏後退とマリーナ氏躍進が目に付いた。
 3日付伯字紙が、Ibope調査は51%対31%対17%、ダッタフォーリャ調査も有効票での得票率を50%対31%対17%と報じた事からすれば、セーラ氏とマリーナ氏が共に統計上の誤差2%の上限に至る健闘を見せたのに対し、ジルマ氏は逆に誤差の下限を割った事になる。
 投票直前のジウマ氏の支持率低下は、ジウマ氏の後任として官房長官に就任したエレニセ氏の失脚や、中絶への賛否を巡るやり取りでキリスト教界(カトリック、福音派双方)の支持を失った事が原因のようだ。
 中絶賛成ととられる発言をしたジウマ氏に反発したキリスト教界の票は低所得者層中心にマリーナ氏に流れたとされ、マリーナ氏が連邦直轄区で42%を獲得し、リオ州や北東伯や北伯の4州で2位に入る健闘を見せた要因の一つとなった。
 一方、選挙キャンペーン20回中、ルーラ大統領不在は1回のみと、大統領が自身の再選挙の時以上に力を入れて応援したジウマ氏が、大統領自身の06年選挙での実績を上回る18州で最高位に立ちながら一次当選を果たせなかったのは、カリスマ性の欠如と本人自身の顔が見えていないせいとの声もある。
 それだけに、PTとPSDBの2極化を阻止したマリーナ氏の今後の言動も気がかりだ。3日の内に両候補選挙陣営から誘いの声が掛かった同氏は、決選投票で誰を支持するかは党内で話し合って決めるとしているが、投票日前には、ジウマ氏拒絶票やPSDBは環境の持続性に理解を示しているなどの点から、決選投票の時にはセーラ氏支持と答えた同氏支持者が半数以上との調査結果も報じられていた。
 決選投票は31日で、最初の公開討論会は10日。選挙活動再開は決選投票と決まってから48時間後だから、決戦の火蓋は間もなく切って落とされる。各自の施政方針を国民に知ってもらうためにも決戦投票が必要と訴えたマリーナ氏の言葉ではないが、29日までのテレビの政見放送の時間も平等になる中、両候補の建設的な政策論議が待たれている。