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正面から政策論じる選挙戦を=期待かかる公開討論会=浮動票獲得にあの手この手=上院の証人喚問実現せず

ニッケイ新聞 2010年10月8日付け

 統一選の決選投票に向けた政見放送が本日8日から再開されるが、今度こそ大統領候補の思い描く政策などを聞く事が出来ると有識者や国民からの期待の声が上がっている。一次投票で20%近い票を集めた緑の党(PV)のマリーナ・シウヴァ氏支援者票をいかにして獲得するかなど、決選投票に向けた熾烈な戦いは既に始まっている。

 6、7日付伯字紙やサイトによると、マリーナ氏が、労働者党(PT)のジウマ・ロウセフ氏と民主社会党(PSDB)のジョゼ・セーラ氏のどちらを支援するかは17日に明らかにすると表明したのが6日。それ以前に流れたPTと協力との情報は、話し合いたいとの申入れがあったが、具体的な返答はされてない事が明確にされた。
 3日の投票後にジウマ氏とセーラ氏の決選投票と決まって以来、PT、PSDB両党や国民の関心を集めているのは、マリーナ氏やその支援者は誰を支援するかだ。
 ところが、マリーナ氏も言うように、ジウマ、セーラ両氏はこれまでの公開討論でも直接的な政策論議などを行っておらず、2人が描く新政府の顔が見えてこない。
 候補4人が集い、政策やプロジェクトについての具体的な議論もなく過ぎた一次選前とは違い、1対1となる公開討論は正面から政策を論じる良い機会とのジェツリオ・ヴァルガス大学アントニオ・テイシェイラ教授の意見は7日付エスタード紙が報じたが、6日のテレビも同様の市民の声を流していた。
 両候補選挙陣営も今後の鍵は政策論議と認識しており、PVの支援とりつけのためにも、環境や持続性重視の立場を強調する事になりそうだ。
 一方、5日の大統領朝食会などで、ジウマ氏が一次当選を逃した理由についても討議した労働者党(PT)新知事や新議員は、身を低くし有権者と直接触れ合う必要を訴えた。これを受け、会見台のアクリル製防護板も外したジウマ氏は6日、高得票だったリオ海岸部で選挙活動を開始。教会関係者にも中絶反対の立場を説明した。
 ただ、同日予定されていたジウマ氏と同氏の右腕だったエレニセ・ゲーラ元官房長官に対する上院証人喚問決議は、ジウマ氏保護を狙う政府の要請による与党議員欠席で流れ、不透明さは払拭されないままだ。
 一方、セーラ氏も6日は関係者と今後の対応を協議し、アエシオ・ネーヴェス元ミナス州知事やジェラウド・アウキミン新サンパウロ州知事らも全面協力を約束。レアル・プラン導入がブラジルの経済成長を支える基になった事を強調したりするため、PSDB政権とPT政権を比較する事も決まり、カルドーゾ元大統領の名前が出る機会が増えそうだ。
 決選投票に向けた最初のテレビ公開討論は10日夜10時、バンジ局開催。司会者もなるべく2人に時間を回すとの意向を明らかにしている。