ニッケイ新聞 2010年10月14日付け
雇用創出は順調で失業率も低下、労働者の所得も向上と続く政府報告とは裏腹に、低所得者層では失業率が拡大し続けており、政府の社会政策見直しなどが必要との専門家の意見を12日付エスタード紙が報じた。
04年8月と今年8月を比べた場合、所得の多い方から20%に属す層(以下、富裕層)の失業者は、23万3488人から9万1089人にと62・7%減少したが、少ない方から20%の層(以下、貧困層)の失業者は、65万2111人から66万7682人にと2・4%増えている。
一方、政府の公式発表では、失業者は244万2498人から160万350人に34・5%減少と伝えられており、低所得者層での失業拡大の認識はない。
また、貧困層で就学年数11年以上(大学や専門学校進学以上)の人の割合は26・6%から41・8%に増えたが、79・2%から86・1%に増えた富裕層とは大きな格差がある。失業者全体に占める富裕層は9・54%から5・698%に減ったが、貧困層は27・04%から41・72%に増えたという数字も気がかりだ。
応用経済研究院(Ipea)のマルシオ・ポシュマン所長は、労働省は、低所得者層に目を向け、社会開発省や教育省とも連携した政策を立てるべきだと指摘。
中央労組(CUT)のアルツール・エンリッケ氏は、労働者は職にありつき所得が増えれば満足するのではなく、雇用の質も問題にしているといい、国だけではなく、民間企業や労組が加わった明確な雇用計画が必要だと主張。雇用の質改善には、職業訓練などを充実し青年や学校に通えない低所得者への就労チャンスを増やす事が必要という同氏に対し、リオ・カトリック大学のジョゼ・マルシオ・カマルゴ教授は幼少時から高校までの教育向上が鍵だという。