ニッケイ新聞 2010年10月15日付け
【既報関連】12日夜始まったチリのサンホセ鉱山での鉱夫33人の救出作業は、当初予想の48時間を大きく下回る22時間半で終了。地下に降りた救助隊員6人も14日0時32分までに引き上げられたと14日付伯字紙が報じた。【関連記事1面】
1人救出の度に広がる喜びが次の鉱夫も早くという思いを強めたのか、救出ペースは徐々に早まり、リーダーのルイス・ウルズア氏を乗せたカプセルが13日21時55分に地上に着いた時には一段と高い歓声。ピニェラ大統領らも共に国歌斉唱後、「チ、チ、チ、レ、レ、レ、チリの鉱夫!」の声が響き、全員無事救出を祝った。
バンジ局や各種サイトが作業の全容を現場中継したため、ブラジルでもチリ出身者始め多くの人が救出劇を密着視聴したが、快適と言う言葉からは程遠い高温多湿の地下に、技術面や精神面、食料配分などの実際面でリーダーシップをとれる人がいた事や地上との密な連絡などが、鉱夫達の希望と忍耐を繋いだ。
肺炎などを起こしていた鉱夫もおり、極限下での経験後の日常生活への再適応には特別なケアを必要とするが、14日昼前には自然光への適応が早くサングラスを外す人もでた他、同日中に退院の可能性のある鉱夫も3人程度いるという。
各人に8千ユーロの小切手を切った実業家や、諸経費先方持ちで試合観戦に招待した英国のサッカーチーム、子供の養育費支援の申し出など、鉱夫やその家族には世界中からの支援の手が伸べられている。
救出後は別の仕事にと考えている人が多いようだが、鉱山の安全対策に対する警告ともなった今回の事故。地震被災地からは今回の鉱夫救出劇で自分達の事が忘れられるのではと懸念の声も出ているが、そのあたりの按配によっても大統領の手腕が測られる事だろう。