ニッケイ新聞 2010年10月19日付け
大統領選の行方を占うと注目されていた緑の党(PV)のマリーナ・シウヴァ氏が17日、労働者党(PT)のジウマ・ロウセフ氏と民主社会党(PSDB)のジョゼ・セーラ氏のどちらも支援しないとの意向を明らかにし、PV側もそれを支持したと18日付伯字紙が報じた。
31日に決選投票が行われる大統領選の行方を決める鍵の一つとして注目されていたマリーナ氏の出した特定候補を支援せずとの結論は、2014年の大統領選挙を視野に入れたものだ。
一次投票で2千万票近い票を獲得したマリーナ氏が17日まで態度表明を延ばした事は、PTやPSDB候補をして、自分達も環境問題は重視していると発言せしめ、現政府からも環境対策見直しなどの具体的な動きを引き出した。
というのも、マリーナ氏が自分達の側についてくれれば2千万票近い票を取り込めるとの計算が働いたためで、支援と引き換えに同氏やPV党員への閣僚ポスト提供の可能性も充分あった。
しかし、マリーナ氏の心中には、今回の選挙で特定候補を支援する事で閣僚ポストを獲得しても、自分が考えているような環境政策実施はおろか、自分やPVの持つ独自路線維持は困難になるとの懸念が広がる。
PTとPSDBがどれだけ近づこうとしても、マリーナ氏やPVが考える環境政策には程遠いものしか出て来ない。しかも、環境政策で折り合えず袂を分かったPTが、少なくとも昨年のコペンハーゲン会議で打ち出した温室効果ガス削減目標維持を確認する姿勢を示したのに対し、PSDBは具体的なものを打ち出さないまま2週間経過では、マリーナ氏が出した42項目を満たす候補特定は困難だ。
マリーナ氏は17日の党大会で「特定候補を支援しないという事はただ傍観するという意味ではない」と明言。「独立」の立場こそが国民にとっても最善との考えを明らかにした。これを聞いたPV側も、14年選挙を睨んだ同氏の選択を尊重し、党としては特定候補を支援しない事を88対4で承認した。
19日以降のマリーナ氏は上院議員としての職に戻り、来年2月から民主的持続性研究所(IDS)所長に就任。環境問題への取り組みや意見交換のため、国外にも積極的に出て行く所存だ。
なお、党大会では、大統領選でどの候補を支援し、誰に投票するかは各州支部や各自の判断に任せるが、党幹部は自分の支援する候補名を明かさない事と、特定候補の選挙活動を支援する場合、党名や党のシンボルを使わない事が確認された。
現在のところ、ジウベルト・ジル元文化相や下議当選のゼッキーニャ・サルネイ氏らがジウマ氏支持、リオ州知事選で破れたフェルナンド・ガベイラ氏らがセーラ氏支持を表明している。サンパウロ州、リオ州、ミナス州のPVは非公式だがセーラ支持のようだ。