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イタチーバ文協50周年祝う=前夜祭と記念式典盛大に=300人が会館埋める

ニッケイ新聞 2010年10月19日付け

 イタチーバ日伯文化協会(門馬ジョルジ会長)は同会創立50周年を記念して16日に前夜祭、翌日に合同慰霊祭と記念式典を開催し、会員300人ほどが出席し、賑わいを見せた。式典では歴代会長、創立会員、功労者、高齢者表彰の他、30年後の未来に向けて、タイムカプセルに会員らが思い思いの品を詰めた。来年の1月には半世紀の節目を祝い、発足から同式典まで、同会の軌跡を記録した日ポ両語での記念誌の発行を予定している。

 50年間の感謝と日本文化紹介を目的として同市と共催で行われた16日の前夜祭には、300人以上が出席。会館は常時満員となり、太鼓演奏、同会柔道部のデモンストレーションなどを行い、市民を持てなし、盛況な会となった。
 17日、同市の中央教会でカトリック、仏式両方で行われた合同慰霊祭には門馬会長、会員他、ジョアン・ファトリ同市市長も出席。荘厳なコーラスの歌声の中、日伯両国旗、市旗などを持った着物姿の女性が登場し、キリスト教の神父が日ポ両語でミサを執り行なった。その後カンピーナス本門仏立宗の僧侶による読経の中、出席者が焼香した。
 午後から行われた式典でも同会会館は満員。日ポ両語の司会の下、門馬会長夫妻他、在聖総領事館の鎌倉由明領事、ハンク・シルバ同市副市長、ルイス・ソアレス・デ・カマルゴ同市文化体育観光局長、ジョゼ・ロベルト・フマチィ前市長、記念誌のポ語の校正を務めた歴史家のデニス・ハフェル・ペレイラ氏らが登壇し、先亡者への黙祷、日伯両国家の斉唱を行った。
 門馬会長のあいさつに続き、鎌倉領事が大部総領事の祝辞を代読。「日本文化普及、日系人の社会的活躍、地域の発展に大きく貢献し、同市のサンタ・カーザ病院への草の根資金協力には橋渡し役を果たしてくれた」と賞賛と感謝の思いを表した。
 ハンク・シルバ同市副市長は「日本人は市民の友達と言える存在で、敬意を表する」と祝辞を述べた。
 除幕式が行われ、記念プレートに続いて、前々会長の佐坂勉氏が自分の肖像写真を、前会長である故・松本洋治氏の分を妻まり子さんとその子らが除幕をした。
 その後は歴代会長、創設会員、功労者、高齢者の受賞が行われ、鏡開き、乾杯と続いた。

タイムカプセルに思い込め=文協支える婦人会

 「夢や想い出を託しましょう」と張り紙がされたタイムカプセルには、祝賀会中多くの人が思いを込めた品を入れた。将来の自分への手紙を書いた青年や、役員の森広秀夫さん(81、岡山)は「楽しかった人生よ」と書いた手紙を入れた。「開けるときには110歳位か、頑張らないと」と笑顔を見せる。カプセルは同会の80周年式典で開けられるという。
 そんな森広さんは創設当初から会計を務める。「一昔前は近所付き合いのようなもので多額の寄付をしてくれる人がいた。そんな人は少なくなった」という。
 減少傾向のある会員の数は現在80家族ほど。苦しい財政面の中、同会を支えるのが婦人会だ。
 文化協会発足の数年後に創立した婦人会。現在は27人の会員がおり、その数は増加中という。
 同会は年に6回の焼きそば会を開催。現在は各地で見られる焼きそば会だが、同会が始めたのは30年前。当初は行う地域も少なかったという。文協会員が主な客であった初期は300食ほどの売り上げだったが、口コミや地元の新聞、テレビでの宣伝を通じ、現在はブラジル人を中心に1200食を売る人気イベントだ。常連も多く、5、6人分を持って帰る人も。
 そんな婦人会に創立時から入会し20年以上会長を務めるのが田村美代子さん(80、高知)だ。田村さんは「焼きそば会は男性だけではできない仕事。会員、文協、青年部の大勢が手伝ってくれているので楽しくやっている」と笑顔を見せる。
 そんな功績か認められ、今回功労者として表彰された。「恥ずかしいばかり。この嬉しさもこれまでの皆の協力があってこそ」と感謝の思いを語り「今後も文協の部ではなく、会として存続を維持していきたい」と力を込めた。